愛されない私は本当に愛してくれた人達の為に生きる事を決めましたので、もう遅いです!

ユウ

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面会が許されたのは、王宮にてリアンティーヌに詫びを入れた後の夜だった。



「貴方、今まで何所にいらしたの!」

「王宮だよ。今後の処遇の事だ。君もリアンティーヌ様にお詫びを…」

「あの女狐にそっくりな女…」

「ミレアル!」


ライオネルは絶句した。
リアンティーヌに暴行を働いたのにまったく反省をしていない。


むしろ憎んでいるようにも見えた。


「あの小賢しい女狐…思い出すだけでも不愉快だわ。死ぬなら一人で死ねば良かった。なのに!」


「君は何時からそんな恐ろしい事を。人の心まで失ってしまったのか」

「何を言っているの?」


(私はそうっせてしまったのか…)


少しずつ歪み出したミレアル。
何時からそうなったのか、ライオネルは自分の所為だと責めていた。


(もう無理なのか…)


既にミレアルと離縁する事は避けられない。
それも仕方ない事だった解っているが、別れた後ミレアルは生きて行くことは難しい。


ミレーヌも貴族として以外の生活は知らない。
ならば別れる前にできるだけ安心できる修道院を探そうと思っていたのだ。


「何その顔は…何故貴方が被害者ぶるの?ねぇ!」

「ミレアル…」


「貴方は私を裏切ったのよ!なのに」

「私は君を裏切る振る舞いをした覚えはないよ」

「なっ!」


ミレアルはライオネルが頭を下げて謝り許しを請うだろうと思っていた。
なのに正反対の行動をしたのに驚いた。


「貴方は…」

「私は遠縁の子供を我が子に迎え入れた。君も望んだじゃないか」


「何を言っているの!あの女の汚らわしい子供を…」


「シェリラは汚らわしくない。シャルティア様も…彼女達は美しい心を持っている」


聞きたくない名前を呼ばれ、ミレアルは耐え切れなくなり手を振りかざす。


「ふざけないで!」


「ライオネル殿!」


付き添っていた騎士が近づくも手で制止する。


「殴りたいなら殴るといい。それで君の気が済むなら…私は愛し方を間違えた」

「何よ!何よ!」


暴れまわり、ライオネルを殴りながらミレアルは罵倒を浴びせた。


「そうよ。全部貴方が悪いのよ…あの女の子を引き取るなんて!死ねば良かったのに!あの女の子供なんてあのままのたれ死んだから良かったのよ!」

(ここまで歪んでしまったのか)

憐れむような目を向けるライオネルに更に惨めになるミレアルは思ったままに叫んだ。


「全部貴方の所為よ!貴方なんていなければ良かった!私の幸せを返して疫病神!」


自分の事を棚に上げてライオネルを責めた。


「もう私の夫じゃないわ!」


「それが君の本心なんだね」


怒りをぶつけたミレアルはどれだけ酷いことを言ったか解っていなかった。
それ以降、ライオネルがこの邸に来ることはなかった。


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