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しおりを挟む貴族街から少し離れた場所にミレアルとミレーヌは住んでいた。
下級貴族が住まうような邸で、少ない使用人をつけられていたが、現在はその邸から少し離れた場所に使われていない小さな邸がある。
そこで監視されながら生活をしていた。
「このスープは何なの」
「このパンも固くて食べられないわ」
自分達の立場をまるで理解していない二人は、我儘放題だった。
「前の侍女も使えなかったけど、代理も役に立たないわね」
「そうですか」
表情を変えない侍女は即座にスープとパンを下げて破棄する。
「ならばこちらをどうぞ」
「は?」
代わりの食事を用意されるかと思えばコップに水を注がれて終わりだった。
「何の真似?」
「食事が気に入らないのでしたらお水だけでどうぞ」
「何言っているのよ!そんなことをして許されるはずが…」
侍女は深いため息をつく。
「私はノースライナ―家の侍女ではございません。罪人の監視の為に派遣されました」
「罪人?」
「何を呆けておられるのでしょうか?大帝国の皇族に暴力を働いた罪人でございましょう」
「何言っているの!あれは…」
「もう結構です」
ミレーヌが声を荒げるもしゃべらせる気はなかった。
「既に真面な判断能力のないお二人と話など何方も聞きません」
「無礼な!」
「最も愚かで無礼な行為をなさった方に言われたくありませんね。悪い事をしたら謝るなど平民の幼児でもできることです…ああ、申し訳ありません。精神を病んでいるので解りませんね?」
「私は病気じゃないわ!私は…」
「召し上がらないなら早々に独房にお戻りください」
侍女は監視している騎士に視線を送る。
「無理矢理部屋に放り込まれるか自分で部屋に戻るか選ばせて差し上げます」
「無礼者!私を誰だと」
「罪人の娘です」
「違うわ!お父様に言って相応の処分をしてやるんだから!」
未だに権力を振りかざすミレーヌだったが、何も解っていなかった。
「この二人を独法に放り込みなさい。今後は食事は部屋から出す必要はなさそうです」
「「「ハッ!」」」
監視している騎士に命じ、二人は無理矢理部屋に連行される。
「痛い…離しなさいよ!無礼者!」
「あの人に会わせなさい!」
ミレアルがリアンティーヌを殴った後、邸にて監視をつけられて軟禁状態だった。
その間外部との連絡は一切禁止されている。
最もミレアルに面会に来る人間はいない。
ライオネルは一度だけ面会を許されていいたが、ミレアルが邸から追い出したのだ。
(どうして帰って来ないのよ!)
ミレアルあの日、メイヤー家の使用人に拘束された後に警備隊に邸にて軟禁されたのだ。
その対象はミレアルとミレーヌだけでライオネルは対象にされていなかったが一度だけ面会を許されたがミレアルはライオネルを罵倒して拒絶したのだった。
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