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しおりを挟む「絶対ダメに決まっているでしょう!」
王宮の客間にて。
ヴィオレットが声を荒げて言い放つ。
「落ち着きさない」
「猊下も何をお考えですか」
ミレアルと面会を申し出るも案の定、ヴィオレットが許さなかった。
「だけど私が話し合いをしたいと以前にも」
「状況が変わりました」
「でも、確かめたいことがあるの」
サロンでの事件により、シェリラはミレアルに直接は対峙する事はできなくなった。
既に常に監視されてる状況で三か月後には王都から追放になった後に南部に送られる予定になっていた。
罪人として裁判にかけられることもない。
通常ならば罪を犯した貴族は尋問された後に弁護士が付き正式な裁判を行われる。
その前にも事実確認を明らかにるのだが、既に公の場で事件を起こしている。
本人も真面な判断能力もできず話もできないならば代理人をつけることになるのだが、ミレアルの代理人ができる者はいなかった。
「代理人もいない者です。監視がいたとしても何をするか」
「何もできないでしょう?罵倒を浴びせられ、泥棒猫と言われるぐらいだわ」
「十分問題ですわ!」
監視され、傍には騎士がつくがどんな暴言を吐くか。
結婚を控えているシェリラに醜聞を広めようとするかもしれない。
ミレアル自身に噂を広める力はないが、傍で監視している者。
立ち会っている者に疑いを向けさせることは簡単だ。
「あの親子は被害妄想が酷いのです。ですが、変な事には頭が働きます」
「ないとは言い切れませんが…」
二人はこれまでミレアルとミレーヌがさも悲劇のヒロインぶってシェリラを悪役に仕立て上げたやり方が実に功名だった事を思い出すだけで虫唾が走った。
(あの女は反省なんてするはずがない)
(むしろ開き直りますね)
二人が共通しているのは、ミレアルは何があっても反省するどころか、被害者だと訴える事だ。
「既に邸で、暴言を吐き続けていると聞きます」
「まぁ、元気ですね…普通は精神的に病むのでしょうが」
「そうですか」
心が壊れたわけではない。
病んでしまったわけでもなく、ヒステリックに叫んでいるが、日常生活は問題ない。
むしろ文句を言う図々しさを持っている。
「自分の立場を弁えず、生活に不満を零しています」
「本来なら牢行なのですがね…まぁその費用を誰が支払っているか解ってないのでしょう」
「まもなくその生活も終わりますわ」
ライオネルとの離縁が確実になれば同じような生活は送れなくなる。
その場合親族に生活の面倒をみてもらわなくてはならないだろうが、無理話だ。
「完全な援助が無くなったからこそです」
「え?」
「私は怒っているんです」
シェリラはただ話をするだけではない。
これまでの事を、そしてミレアルにはどれだけの事をしたか解って欲しかったのだ。
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