愛されない私は本当に愛してくれた人達の為に生きる事を決めましたので、もう遅いです!

ユウ

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どんなに自分の立場が悪くなっても。
地位を、財を失ってもミレアルを手放さなかったライオネルは手を放す事を選んだ理由。


「お父様はどうなるのです」

「男爵位に降格となりほとんどの領地は召し上げだ」


「その程度で済んだのはリアンティーヌ様の慈悲でしょう」

「慈悲か…」


(考え方ね)


侯爵位を持つ者が伯爵に降格され、最終的に男爵位に降格されたのはそれ程屈辱だと叫ぶ者もいるだろう。
社交界では地に落ちたと侮辱をされ、男爵になればこれまで以上に厳しい状況に置かれる。


「ライオネルは貴族とは名ばかりの商人となり荒地で過ごすだろう」

「お父様…」

「地位も名誉もなく、僻地に飛ばされ、今後の生活はどれ程厳しくなるか」


リアンティーヌの怒りを買った対価なのかとも思ったが。


「だが、リアンティーヌ様は降格まで望んでいなかったそうだ。むしろ帝国の貴族として手を差し伸べてくださったのだよ」

「「え!」」

男爵位に降格されたのはライオネルの意思だった。


「リアンティーヌ様はライオネルの判断力に関して咎めらえても、ほとんどの責任はミレアルにあると発言された。むしろ伯爵位となっても領地代行としての才は素晴らしいと」


「では何故…」

「やはりあの人は馬鹿です。自分から言ったのでしょう」


「ああ」


例えミレアルに非があっても、ライオネルは責任を逃れる気はない。
これまでの事を懺悔したいのだろう。

そして政治的に関与できない男爵位となり、地位も名誉もない場所からやり直す気だろう。


「これまで稼いだ資金は寄付だが全て返上するそうだ」


「それでは生活はどうなさるのです」

「本人も聞かないのだよ」


これからどんな過酷な生活を送るか。
平民よりも貧しい暮らしを強いられながら、たった一人で生きて行かなくてはならない。



「シェリラ…ライオネルはそこまで弱くない」

「え?」

「私は息子の教育に足らない所はあれど、あれは私の息子だ。この程度で終わるはずがない」


これまで培ってきた物がある。
領主としても踏ん張って来たのだから、ここで終わるとは思っていない。


「シェリラ、間違いはしたが…ライオネルは私の息子だ」

「はい」

「だが、ライオネルよりも厄介なのがミレアルとミレーヌだ」

「あ…」


社交界で人脈作りもせず、助けてくれる人もない。
利益でしか繋がりがないミレアルを助けてくれる人は誰もいないのだから。


完全に敵しかない中で二人が生きて行くことはできない。


(だけど今なら…)



既にミレアルを利用しようと思う輩がいない。


「ミレアル夫人に面会をさせてください」


シェリラはどうしても確かめたいことがあったのだった。


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