愛されない私は本当に愛してくれた人達の為に生きる事を決めましたので、もう遅いです!

ユウ

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ライオネルが最後までミレアルを見捨てなかった理由。


それは――。


「彼なりの贖罪です」

「贖罪…」


シェリラにも解らなかった。
ミレアルの行動により、立場が危ぶまれ王都にもいれなくなったライオネルはミレアルと別れなかったのは愛情だけではなかったとフィディオは告げた。



「貴方への懺悔、そして愛する息子を守り、そして彼女の愛と責任を果たそうとしたのではありませんか?」


「別れる選択をしなかったのは、その為だと?」

「本人しか解りませんが、私はそうだと思います」


問題を起こした妻と娘を早々に見限れば良いだろうが、ライオネルは最後までミレアルとミレーヌを切る事はしなかった。


それが自身の罪であるならば最後まで責任を持つ事にした。


「第三者からは馬鹿だと言われるでしょう」


フィディオは何処までも真面目なライオネルが哀れになった。
愛情と責任が交差して自身が身動きを取れなくなったとしても、責任を取る事を選んだのだから。


「あの人は最後まで私の知る方だったのですね」

「貴方を守り切れず苦しんでおられましたよ」


フィディオ自身も、どうにもできなかったことは多い。
前世では、ライオネル一人ではどうしようもない事が多すぎた。


「私は父を憎みきれません」

「それでよいのではありませんか」


フィディオは無理に憎むことも、許す事もしなくて良いと思った。



「全ての人と心を交わす事はできないのだから」

「はい…」


冷めきったお茶を飲みながら今後の事を考える。
時間は止まることなく時計の針が動き、前にしか進まない。



(願わくばお父様の時間が動きますように)


時が止まって動かなくなってしまった時間に縛られ続けるライオネルが自由に生きれることを願い、そっと祈る。



(私にできるのはもう一つだけ…それが終われば)


ミレアルとミレーヌと対面する事。


全てが終われば二度と会う事はないのだから。




その数日後。
シェリラは久しくラインハルトとオズワルドと面会することになった。




「お兄様、お祖父様」


「すまない、忙しいのに」


騒ぎで色々忙しくしていたが、ラインハルト程ではなかった。


「どうしても伝えたいことがあってな」


「はい」


恐らくライオネルの事だろう。
手紙でも伝える事はできたが、二人が直接話したいとの事でフィディオとヴィオレットが取り計らったのだった。






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