愛されない私は本当に愛してくれた人達の為に生きる事を決めましたので、もう遅いです!

ユウ

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社交界の噂は広まり、ラインハルトへの同情と賛美が広がり。
権威に傷がつくことはなかったのだが、全ては仕組まれたことを知る事となった。


「恐ろしい方ですね」

「帝国の聖女ですからね」


シェリラはお茶を飲みながら聞く内容ではなかった。
社交界の出来事はすべてリアンティーヌが采配した事だった、知らぬは第三者だけだった。


「あの親子の所為でいラインハルト様の継承を非難する者が多いかったのです」


「それは…まぁ」


「ですが反対するほとんどがノースライナ―家の権威を落そうとしている貴族です。後は内乱を狙う輩です」


ノースライナ―侯爵を邪魔に思う者は多い。
利用する灯ではなく失脚を狙う者も少なく無いのだが。

「リアンティーヌ様は以前から我が国の事を調べていたそうです」

「え?」

「何所で貴女の存在を知ったかかは解りません…ですが、孫姪である貴女を守る為と聞けば納得できるのです」


交流があるとはいえ、同盟国ではない。
ガルセア帝国は強い国でもあるので同盟を組む必要性はない。

むしろ戦を仕掛けて潰す方が合理的だった。


「帝国側が我が国を従国にする等たやすいでしょうから」

「それをしなかったのは私の為と…」

「はい」


シェリラの母親がこの国で過ごした時間は決して長くない。
それでもリアンティーヌは愛する姪の娘が住まう国に手を出す事はしたくなかった。

そう考えるとだどうだったが。


「シェリラ、貴族とは本当に面倒な物です」

「フィディオ様…」

「平民とは異なり生活は保障されていますが、我が子ですら切り捨てなくてはなりません」


義務の為とは言えど私を見捨てたお父様。
そうしなくてはならかったと言えばそれまでだけど。

「私が嫌った貴族の在り方です」

「私も好きではありません」


人は生まれを選べない。
貴族で高位であればある程自分の子供を道具に使う。
己の欲望の為に利用して使えなければ捨てる貴族を何人も見て来た。


「子が親に認めて欲しいと必死に足搔いても親は知りもしない…だから歪んでしまう」

「母…いいえ、ミレアル夫人もそうだったのでしょうか」

「シェリラ」


もう母と呼べないし、呼びたくない。
けれど、母と思っていた時がある。

愛して欲しいと足搔き続けた時間がある。


「同情はできません。環境が良くなかったとしても貴女を虐げて良い理由になりましょうか。彼女自身が選んだのです」


フィディオはミレアルが破滅の道を辿ったのは自業自得だと思っている。
人は過ちを犯す事があるが、立ち止まるチャンスはあるのに、立ち止まろうとしなかったのはミレアルだ。


「ライオネル様が何故彼女と別れなかったか気づく事もないでしょうね」



フィディオはライオネルの気持ちが解っていた。
解っているからこそ余計に気の毒に思ったのだった。


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