愛されない私は本当に愛してくれた人達の為に生きる事を決めましたので、もう遅いです!

ユウ

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サロンでの大事件は翌日に噂となった。
隣国の皇族に手に暴行を振舞ったミレアルの行動は許されるものではなかったが、問題は暴行だけではなく。


高位貴族は常日頃から身分差別が酷く、他国の貴族に対しても差別意識を持っている事。
そして地位をチラつかせ立場が弱い者を虐げている貴族がお良い事を指摘されるまでになった。


ミレアルの横暴な態度は一人だけでなく、高位貴族ならば許されると言う傲慢な考えが定着しているのではないかと叩かれていた。


王都新聞記者は以前から貴族の横暴さを暴く為に働きかけ、今回サロンに参加していたのでスクープを欲していた。


交渉の末にリアンティーヌは取材に応じ、今回の事件の発端は本人の資質だけではなく環境も問題視していると告げた。


反感を覚える貴族もいたが、かつてミレアルと親しくしていた貴族夫人も似たような真似をしていた事が発覚したのだ。



「聞きまして、モルゲテール伯爵夫人の噂」

「ええ、嫡男を優遇してご息女に虐待をしていたとか」

「ミレアル様と親しくされていたと聞いてますし」

「もしや、他の友人も」


社交界では子供に隠れて暴力を振るっている事が公にされ、白い目で見られるようになる。
家庭内で暴力を振るうなどどんな理由があっても問題視される。


「見て、モルゲテール伯爵夫人よ」

「目をあわせてはダメよ」


「そうね」


暴力行為を平気でする人間と関わろうという者はいない。
特に中位貴族の中でも教育熱心な夫人も多く、理不尽な暴力行為をする人間を毛嫌いするのだ。

例え高位貴族であろうとも。


その後、サロンにミレアルを連れて来た男爵夫人は領地に戻り、友人だったモルゲテール伯爵夫人は事実上社交界から追放になった。



ミレアルは邸で監視され、外出禁止となった。


だが、通常は邸ではなく貴族が罪を犯した赤い塔にて幽閉されるのだが。



「ラインハルト様もお気の毒に」

「縁を切ったと言えど、母君の責任を取られると申されとか」

「あの方にまったくの罪がありませんのにご立派ですこと」

「それ故にリアンティーヌ様は格別の配慮をされたそうですわ」


本来なら幽閉された後に裁きを受けるのだが、ノースライナ―家の当主としてラインハルトがすべての責任を取ると名乗り出た事により、リアンティーヌは許したのだった。


リアンティーヌの懐の深さと、ラインハルトの責任感の強さが社交界でも噂となり誰もラインハルトを責める事はなかったのだった。



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