愛されない私は本当に愛してくれた人達の為に生きる事を決めましたので、もう遅いです!

ユウ

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両陛下とライオネルは頭を下げたまま何も言えなかった。
他国では慈悲深いと言われるも優しいだけの存在ではないのだから。



帝国が常に窮地に立たされた時は矢面になり敵国に捕虜となる覚悟で向かいながらも交渉して和解に命を懸けた。


そんな人物がただの優しいだけの女性のはずがない。
皇帝ですら礼を尽くす存在足る理由は、人望と、政治能力に他国にもコネクションがあるからだ。


「私に対する無礼は許しましょう。ちゃんとした処分をしてくださり誠意を見せてくださるならば」

「はい…ありがとうございます」

「ですが、私は可愛い姪孫の兄君を捌く気はありませんわ」



リアンティーヌの言葉に誰もが驚く。
ライオネルを処罰する事はノースライナ―家を罰する事だと思った。


「私は可愛い姪孫の慕う兄君に対しては悪い感情は抱いていません。むしろ彼は救わねばなりません」

「それは…」


「シェリラの味方となり最後まで盾となってくださったそうではありませんか。私は遠目からも二人のやりとりを見て解りますわ」


リアンティーヌは決して冷たい人間ではなかった。


「少なくとも私は貴方に感謝しています。婚約解消に関しては致し方なかったと思っております」


「ですが…」

「許せないのは、貴方ともあろう方が何故今まで妻を野放しにしていたのかです」


ライオネルは決して無能ではない。
降格された後も辺境地で特産物を生み出し、寂れた領地を潤し、慈善活動も活発に行い領民からも慕われていた。


領地経営の才能だけなら誰にも負けないだろう。
これまでライオネルは領民が治める税を上げることなく貧しい領地領民が飢えることがない様にした。

その間の暮らしは楽ではなかったがずだが、ライオネルは自分の私生活を犠牲にして身を粉にして働いた事も多くの者が知っている。


「貴方は人としては優れていた。ただ唯一の不運は女性を見る目の無さ…いいえ、過去に縛られた事です」


「私は…」


「貴方は親です。我が子を守る責任があります。そしてシャルティアを陰から守ろうとしてくれたことぐらい解ってましてよ」


ライオネルは過去に縛られたことは事実だ。
過去に愛してあ女性が悲しみ、心を壊していたからこそ救ってあげたかった。


「私はそこまで優秀な人間ではないのですよ…」


「誰だって弱さ、欠点はありますわよ。貴方は責任の取り方を間違えました」


シェリラを養子縁組した時点で家族は完全に崩壊していた。
爵位をラインハルトに譲った後もできる事はしようと思った傍らで周りからはミレアルと離縁すべきだと言われたが離縁はしなかった。



別れて全て終わりではないと思ったが、責任の取り方を間違えていたのだった。

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