愛されない私は本当に愛してくれた人達の為に生きる事を決めましたので、もう遅いです!

ユウ

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「いい加減にしないか!」


ライオネルは拳を握り怒鳴りつけた。
例えどんなに苛立っても手を出す事だけはできなかった。


「シェリラは一度だって君を責めた事はなかった。君に愛して欲しい、認めて欲しい思いで頑張って、頑張って心を殺した」


熱を出したあの日からすべてが変わった。


「君へ期待するのを辞めたんだ。君に愛される努力は空しいから」

「私はちゃんと愛してあげていたわ」

「あげていた…か」


ミレアルの発言はあまりにも酷い物だった。

「私に対しても愛してやっているんだから当然と言いたいんだな」

「何を言っているの?」


「君を恐ろしい鬼にしてしまったのは私なんだな。私が君をそんな風にしてしまったんだな」


(どんなに心を尽くしても無理だったのか)

別居状態にあり、領地で領民から支持されるようになって落ち着いてもミレアルが領地に来ることはなかった。


貧しい土地を毛嫌いして、領民の暮らしを見ようともしなかった。



「ノースライナ―伯爵」


「メイヤー伯爵」


同情は出来ないが哀れに思うメイヤー伯爵は肩を優しくたたく。


「これ以上何を言っても無駄でしょう。この方は貴方の真心も優しさも利用したのですから」

「申し訳ありません」

「この後王宮に来ていただかなくてはなりません」


本来ならばミレアルも同行して状況を話すべきだが、ミレアルが的にも話ができるとは思えない。


「奥方がいらしても暴れられるだけでしょう。目撃証言だけで十分です」

「はい、妻はしばらく邸にて…」

「貴方!」


「両陛下にこれ以上の無礼は許されません」


ミレアルを王宮に同行させたとしても反省の色もない。
自分に都合の良い事だけを話し、自分の非は認めず意味がないのだ。


「妻は病を患っております。真面な話はできません。心が病んでいますので」

「解りました。奥方は邸に…」


「待って!私は病なんて…どうして!」


「奥方を邸にお連れしろ」


「ハッ!」

傍に控えていた騎士に命じてミレアルは無理矢理部屋から出される。


「貴方!」


ミレアルは訴えるも目を合わせる事もなかった。



(私にも罪がある…だが)


この後ライオネルはどんな処分が待っているか解らない。
自分の首一つで済めばいいが外交問題発展してもおかしくないのだから。



(せめてラインハルトとシェリラだけでも…)


既に関りを断っているが、ノースライナ―家を継ぐことになるラインハルトを守りたい。

例えこの身がどうなっても。


強くそう願うのだった。



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