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しおりを挟むガルセア帝国は千年以上の歴史を持つ大帝国だった。
敵に回せばどうなるか解らない。
国の存続にも関わる問題だった。
その中でも一番の強者であるのは現皇帝ですら礼を尽くすと言われている聖女の存在だった。
聖女と呼ばれる年齢ではないが、慈善活動も精を出して活動していた。
特の女性が生きにくい世で女性の地位を向上させるべく奮闘しているリアンティーヌは聖女様と慕われている。
不正を許さず、悪事を働く者には容赦がない一面を持つ。
しかし、リアンティーヌ自身も若かりし頃は苦労の日々だった。
先代皇帝の時代は内乱も多く、帝位争いが酷かった時期に身内同士の骨肉の争いに巻きこまれていた。
当時は今ほどの権力もなかった。
故に姪が帝国のお荷物だと言われ他国に逃げなくてはならなかった時も何もできなかったのだ。
「私はあの時、無力でしたわ。可愛い姪を守ってあげられませんでした。ですからあの子を援助してくださった前ノースライナ―侯爵夫人には感謝していました」
「リアンティーヌ様…」
「ですが、私の姪が命をかけて産んだ子を虐待していた等知りませんでした。リシャール王子と婚約解消になった噂を聞いても私は見守ることにしましたの」
男女の仲とは解らない。
特に王太子との婚約解消など表ざたになってなくても変わるのだ。
国が貧しくなればできるだけ援助してくれる国の姫を娶る事もある。
リアンティーヌは黙っているつもりであったが。
「妹君が婚約者を奪ったと聞いた時は驚きましたわ…既に他国にも噂が拡大しています」
「えっ…」
「そんな」
噂の出所は解らないが、既に海を越えて噂は流れて止めることもできなくなっていた。
「私は姪孫を追い落とすために王族がわざとそのような噂を流しているのではないかと疑いました。王妃陛下、貴女様程の方が何故放置していたのです」
「申し訳ありません。私の不徳の致すところです」
「王宮は砂の城。管理しようとしても無駄でしょうが…ここまで噂が広まるのはおかしいですわ」
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「始末…」
「ノースライナ―伯爵。私はあのことは戸籍上は繋がりもありませんわ。ですが姪孫である事実は変わりません。この意味を解っていまして?」
「はい…」
「私に暴行を働いた事実を真摯に受け止めるように奥方としっかり話し合ってくださいませ」
リアンティーヌの脅しにも近い言葉に誰も口を挟めなかった。
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