愛されない私は本当に愛してくれた人達の為に生きる事を決めましたので、もう遅いです!

ユウ

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スーザンが主催するパーティーガルセア帝国の皇族に暴行を働いた事で王宮では動揺が走っていた。


「この度は申し訳ありません!」

「何の為の謝罪でしょう?」


スーザンと宰相の口からミレアルがリアンティーヌを殴った事を伝えられ、両陛下はお詫びに向かった。



お忍びで滞在していた迎賓館には帝国から連れて来た使用人が冷たい視線を向けている。


「我が帝国を軽んじているのでしょうか」

「まったくですわ」


リアンティーヌは祖国だけでなく他国にも影響力が強い為、暴行を与えたとなれば戦争になってもおかしくない。



「貴方がノースライナ―伯爵ですね」

「はい、この度は妻が大変無礼を」


「謝ってどうなさるのかしら?ごめんなさいで全て片付けるなんて」


謝罪だけで済む問題ではない。
そして一番問題なのは暴力を振るった本人が謝罪する気が全くない。


「我が帝国の聖女と謡われるリアンティーヌ様に対してあまりにも無礼ではありませんか」

「現皇帝陛下の母代わりを務められているお方に随分と傲慢です事」


傍に控える女官はウィスタリア王国に対して不信感を抱いている。
いかに国王と王妃が頭を下げようとも、暴力を振るった本人は一度も謝罪を口にしなかったのだから。


「私は帝位を持たぬ者…ですが暴力を振るうのがこの国の在り方ですか…信頼していたのに裏切られた気分ですわ」


「返す言葉もございません」

「私は姪がこの国に留学した時、王妃陛下に尊敬の念を抱いていました。ですから安心しましたの」


かつて帝国で役立たずだと罵倒された後に留学の話を進め国外で穏やかに過ごして欲しかった。


「体が弱く人の三分の一も生きられないと言われていました。ならばとこの国を選びました」


せめて短い生涯でも良い。
最後は幸福だったならばと願った。


その結果は。


「もっと早く知っていれば…あの子の忘れ形見は私にとっても慰めでしたのに。ライオネル様」


「はい」

「私はシェリラの存在を隠しました。今さら帝国に連れて行くのは危険ですし、あの子の願いを聞き入れたのでしょう…感謝はしてましてよ」

「リアンティーヌ様」

「ですが、貴方の妻とご息女が長きにわたり虐げた事は許せません」


リアンティーヌ自身ももっと早く知っていればと思っていた。
子供を身ごもっていると気づかなかったのは自分の失態と思っているのでライオネルを一方的に責める事はできなかった。



シェリラの存在を知ったのはリシャールと婚約してしばらくしてからだった。


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