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しおりを挟む目の前で蔑んだ表情をしながら睨みつけるリアンティーヌを見て過去の記憶が蘇る。
かつて愛した人の前に現れた一人の女性。
死に目に会わせてほしいと懇願した不愉快な女性の顔を忘れた事はない。
(ありえないありえない!)
嘘だと思っても、心のどこかで疑いを持っていた。
アルシオは子供ができにくい体だとも聞かされていたので子供ができるなんてありえない。
復縁を望まれるも拒み続け責め続けた。
離れていた空白の時間中に男女の行為をしたとしても子供ができるとは考えにくい。
(シェリラはノースライナ―家の遠縁だったはずよ)
信じたくないと思いながらも、リアンティーヌの隣に立つと赤の他人とは思えなかった。
「貴女は何人の人間を犠牲にすれば気が済むのかしら?今の幸せも他人を踏みつけて得た幸福でしょうに」
「何を…」
「私が何も知らないと思わないでくださいね」
まるで獲物を逃がすまいとする目のリアンティーヌは一歩近づき耳打ちする。
「自分の欲の為に愛を捨てた汚い女」
耳とで囁く言葉はミレアルを軽蔑する言葉だった。
「ふざけないで!」
「きゃあ!」
「リアン様!」
ミレアルは扇を振り上げリアンティーヌを殴った。
「大丈夫ですか!」
「えっ…ええ」
頬を殴られ痛みに耐えるリアンティーヌは口が切れていた。
「なんて事を!ノースライナ―夫人!」
「私は…」
「リアンティーヌ様はガルセア帝国の皇族の方ですのよ…いいえ、どんな理由があっても手を上げる等」
公の場で暴力を振るう事はご法度だった。
特に社交界で噂の的になっている中家庭内で暴力を振るっている事になる。
「家庭内でも暴力を振るっていたのではなくて?」
「最低ね」
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「そうね。今回のパーティーに相応しくないわ。今すぐ出て行ってください」
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ミレーヌをその場に残して。
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