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閑話10過去編ミレーヌ⑩
しおりを挟む完全に外の世界と切り離された後に面会に来る人間等無きに等しかった。
「何でシャル様は私に会いに来てくださらないの!」
ずっと渡りがなかった事を苛立ち、次第にリシャールを恨むようになった。
外の世界でどんなことが起きているか知らないし、知りたいとも思わなかった。
そして一か月後。
女官長が現れ、部屋から出るように言われる。
「出なさい。もうここは貴女のいる場所ではありません」
「は?」
「他の側妃様は王宮に移られました」
「じゃあ!」
女官長の言葉に目を輝かせる。
(他の女は追い出したのね!じゃあ私は唯一の寵妃だわ!)
後宮から側妃が出ると言う事はどういう事か理解していないミレーヌは勝手に勘違いをした。
「外に馬車を用意してあります」
「その前にドレスを用意して、こんな格好じゃ」
「いいえ、貴女にドレスは不要です。持ってないでしょ?」
「は?」
王宮で用意しているだろうと思っていたミレーヌは首を傾げた。
「何言っているの、王宮に」
「これから貴女が向かうのは王宮ではありません王宮の別邸です。老朽化が進み使われなくなったお邸です」
「は?何で私がそんな所に行かなくちゃいけないのよ!」
ミレーヌはこれから王宮で優雅に暮らすはずだ。
何でそんな邸に行く必要があるのか尋ねるも、女官長は冷たい視線を向けていた。
しかし――。
「離せ!離してくれ!」
後宮の前に古びた馬車が止まる。
「待ってくれ、母上に話をさせてくれ」
「合わせるわけには参りません。既に貴方は廃嫡になった身でございます」
「どうかお元気で…リシャール様」
(は?リシャール様?)
騎士達に抑え込まれてボロボロのリシャールだった。
かつての面影は見る影もなかった。
髪はぼさぼさで肌荒れも酷い。
服もヨレヨレで最初は気づかなかったぐらいだ。
「シャル様!」
「ミレーヌ!」
「どうなっているんですか。どうして…」
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「えっ…」
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「嘘よ!そんなの!」
信じられないし信じたくないとしゃがみ込み耳を塞いだミレーヌは現実と逃避をした。
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