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閑話10過去編ミレーヌ⑤
しおりを挟むお茶会の席を用意されるも、ミレーヌの席は一番端っこだった。
「これは…」
「あら新入りさん」
「新入り…」
屈辱だった。
侯爵令嬢である自分がなぜこんな扱いを受けなくてはならないのか。
「お茶会の準備をしないで席に座るなんてどんな教育を受けて来たのです」
「何でそんなことを私が…」
「まぁ、新参者の癖になんて事ですの?シェリラ様の妹君だと聞いていたけど…ねぇ?」
「あんな人姉ではないわ!もう関係ありません」
ここでもシェリラの名前が出されて苛立つミレーヌは感情的になり、身内の恥となる事も知らずにシェリラがいかに性悪かを声高らかに告げた。
「お育ちを疑いますわよ」
「仮にもお姉様でしょう?」
「死んだ方を口汚く罵倒するなんて。本当はシェリラ様を殺したのはミレーヌ様ではなくて」
「ええ、いくら何でも」
側妃は口をそろえてミレーヌを責めた。
「違います!」
「だけど姉君から婚約者を寝取ったのでしょう?」
「私とリシャール様は十年前から愛し合い愛を育んで来たんです。ずっと…」
ミレーヌはリシャールと自分が長い間愛し合い愛を育みずっと結ばれることをねがっっていた事を告げる。
驚く側妃を見て不敵に微笑む。
(フンッ、シャル様が求めているのは私だわ!)
内心では勝ち誇ったが、すぐに非難される。
「十年間も浮気をしていらしのですか」
「まさか母君も加担していたなんて…お可哀想なシェリラ様」
「流石に同情いたしますわ。こんな妹と血が繋がら糸は言えど汚らわしい」
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「は?」
羨ましがられるか、憧景の視線を受けると思っていたのにむしろ逆だった。
「なんて恐ろしい方」
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あらゆる専門分野に優れている令嬢は己の気持ちを押し殺し役目を果たそうとしているのだ。
中には恋人と別れを告げて来た令嬢もいるのだ。
軽蔑してもおかしくないが、何よりシェリラが不憫でならなかった。
この時点で他の側妃はミレーヌに関わるどころか声をかけることすらなかったのだった。
お茶会でも、完全に無視をして今度の行事の相談をしてミレーヌは孤立した。
何の役割も与えられず一人ぼっちのミレーヌはリシャールに泣きつくしかできず日々が過ぎて行った。
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