愛されない私は本当に愛してくれた人達の為に生きる事を決めましたので、もう遅いです!

ユウ

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閑話10過去編ミレーヌ④

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ミレーヌは王太子妃になって誰よりも美しく幸せになれると思っていた。
愛するリシャールが傍にいて、誰からも祝福されるのを夢見ていたが、そんなのは絵空事だった。


まずは王家に嫁いでから服装は質素な物ばかりだった。

「何故こんなドレスばかりなの!」

「現在は喪中です。王弟殿下がお亡くなりなって喪も明けておりません」


王宮内では王弟殿下であるフィディオが亡くなった事で服装は質素な物しか許されなかった。


「でも!」

「これも決まりです。ですが決まり事を気になさらないならばお好きなドレスをお召しください」

「無礼よ!」


主に対してなんて口の利き方だと思い文句を言うも。


「承知いたしました。では代わりのメイドをよこします」

「メイドですって!」


後宮では上級側妃は侍女を数名傍に置く事が許される。
ただしそれ以下は後宮から一人使用人をつけて貰えるが、王宮で厳選された侍女というわけではないのだ。


「ミレーヌ様は侍女を一人も同行されておりませんので」

「それは…」


ミレーヌに侍女の同行は出来なかった理由は、不要だと断ったからだ。
王宮に嫁げば侍女なんていくらでも用意してくれるし、侯爵家の侍女とは折り合いが悪かった。


我儘放題で使用人に辛く当たっていたからだ。
ミレアルの使用人は年齢も高く、後宮に入るのは無理がある。

何より若く美しい侍女を望んだのがミレアルだった。


唯一若い侍女のシロカは早々に侯爵家を止めた後に出家したのだ。


代わりのメイドは。


「ちょっと痛いわよ!」

「申し訳ありません。ですが髪を結っている時はどうか振り向かないでください」

「下手なのを主人の所為にする気?無能ね!」

「きゃああ!」

傍に置いている香水をかける。


「痛い…あああ!」

「何よ…香水をかけただけじゃない。大袈裟に…」


ミレーヌがかけたのは香水だったが、顔に直接かけるものではなかった。
顔が赤く腫れ、ミレーヌは悲鳴を上げた。


「何て醜いの!こんな醜い顔で私の傍に来ないで!汚らわしい!」


「うっ…ふっ!」

泣きながら部屋を出て行くメイドはそれ以降、ミレーヌの世話に来ることはなかった。



代わりに他のメイドを用意されても気に入らないと部屋から追い出した後に落ち着いたが、平民のメイドだった。


他の側妃は下級貴族の夫人だったが、既にミレーヌのメイドになる者はいなかった。



そしてその日、後宮でお茶会が行われていた。

正妃と側妃が揃うお茶会が催されていた。


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