愛されない私は本当に愛してくれた人達の為に生きる事を決めましたので、もう遅いです!

ユウ

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閑話10過去編ミレーヌ②

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「本当だ」


重苦しい空気の中放たれ言葉にミレーヌは未だに意味が解らない状態だった。


「貴方?」

「私は当主の座をラインハルトに譲ることになった」


「何を言ってますの!」


声を荒げるミレアルに対して、ライオネルは冷静だった。


「ラインハルトは既に成人している。後見人に父がこの邸に留まる事になる」

「待ってお父様、何を言っているの?それじゃあ…」



まるで隠居生活をするような口ぶりだった。
ラインハルトが跡継ぎとなれば、隠居生活を送るのは当然の事だった。


「驚く事はないだろう。ラインハルトが正式に継承するのは一年後だ。引継ぎをする予定だったが、父が後見人となるならば私は必要ないのだから」

「そうではありません。この邸から出て行くなんて」

「当たり前の事じゃないか。何故驚くんだ」


「私をあんな田舎になんて行きたくありませんわ!」


領地に行くぐらいなら王都に留まるとまで言うが、その意味を理解していないミレアル。

「父からある領地を譲り受けている。そこの管理を任された。そこで領地経営をする事になっている」


「王都から離れるなんて」

「君が王都に残りたいなら好きにするといい。だが…本当にいいのか」

「貴方!」


既に止める気もなかった。
ライオネルは離縁を考えていないが、別居を宣言するも同然だった。


「待ってお父様、王都を離れたてお母様を一人にするの!」

「領地に行くのを拒むなら仕方がないんだ」


「酷いわ。お母様を捨てるなんて!お父様もお姉様と同じだわ!」


泣き叫びライオネルを責めるだけだった。
ライオネルの思いも気づかないミレーヌは責めるだけで、ミレアルは王都に残ることになった。


ただノースライナー侯爵家に留まることはできず別邸に移り少ない使用人を連れていた。



しかしその後、ライオネルの言っていた意味を嫌という程理解する。



ミレーヌが王家に嫁いだ後に社交界では冷たい目で見られ、噂の的になっていた。


「ねぇ聞きまして」

「ええ、ご息女が亡くなって喪も明けないのになんて非常識なのかしら」

「あの事故、ノースライナ―夫人が仕組んだ噂があるそうですわ」

「まぁ怖い」


社交界では噂で苦しめられ。
貴族街でも蔑まれるような視線を向けられていた。


そしてミレーヌが王家に嫁ぐ日は朝から土砂降りだった。
まるで天が許さない告げるように雨が降り続け悪い噂は悪化するだけだった。



それでも耐えるしかなかった。
王都に残る以上は耐えながら生きて行くしかなかった。


けれど社交界の恐ろしさを本当の意味で知らない二人の不幸は序の口だった。


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