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しおりを挟むウィスタリアの王族の中で生まれつき強い神力を持って生まれて来る者はその昔時の神、ホロエンの加護を得ていた。
時を戻る能力を持つが、その力は強すぎて使う事は禁じられている。
人間の身ではあまりにも負担が多く、最悪の場合命を落とすので使うってはならないと言われていた。
命を対価にして、三つの時計を動かす者が必要になる。
「この懐中時計を上手く使える人間も稀ですが、三人はその稀な魂を持っていたのが幸いです」
「そんな…では!」
「勘違いなさらないでください。フィディオ様は既に病床に臥していました。だからこそ覚悟ができたのでしょう」
シェリラはフィディオを死なせたのは自分の所為だと思ったが、ヴィオレットは厳しい言葉を放つ。
「フィディオ様を…我が国の教皇猊下を侮る事は許されませんわ。私達も貴女の為にしたのではありませんわ。自惚れないでくださる?」
「はい…」
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勝手に決めた傲慢さを反省するのだが――。
「ヴィオレット様はシェリーの所為ではない、気にしないで良いと言っているんだよ」
「ええ、私が好き好んでしたのだから誰もお嬢様を責めていないとおっしゃっています」
「補足しますが、ヴィオレットは誰よりも貴女を心配していましたので」
三人は揃って代弁した。
「適当な事をおっしゃらないでください!」
「申し訳ありません」
「軽々しく頭を下げないでください!女々しいですわよ」
「はい」
「だから!」
怒られているのに嬉しそうにするシェリラにヴィオレットは何も言わなくなった。
(私は一人じゃなかった…最初から)
見守ってくれている人がいた。
こんなに心強い味方がずっと傍にいてくれたのに気づけない自分が情けなくなった。
「私は弱った体でこの力を使いました。死後の後の事は解りません…ですが私の懐中時計を親として残りの三体の懐中時計を使い時を超えたのでしょう」
「では最初から?」
「いいえ、記憶を取り戻したのはバラバラです」
ただし記憶を取り戻すタイミングは違ってもきっかけはあった。
「お兄様何時頃に…」
「お前が熱を出した日だ」
既にあの時点で思い出していた事に驚くが、よく考えればあの時からピンポイントでラインハルトはシェリラを庇いながらミレアルを非難していた。
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