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しおりを挟む既にシェリラは心の中で決まっていたが迷いがないわけではない。
何故ミレアルはあそこまで厳しい態度を取り、一度だって優しく名前を呼んでくれなかったのか。
長男であるラインハルトは厳しくしても、シェリラ程の厳しくなかった。
「ずっと心の胸に隠していた事があるわ」
「隠していた?」
「あの人はどうしてここまで私を否定するのか、ミレーヌを愛するあまり私を憎む。私だって馬鹿じゃないわ…確信はないけど思うのよ」
胸に手を当て、今まで疑っていた気持ちを吐き出す。
「私がミレアル・ノースライナ―とは血のつながりがない事を」
「お姉様…」
「お兄様はお父様にとても似ているわ。ミレーヌはお母様に似ているけど私は…」
胸がズキンと痛む。
ずっと考えないようにして来たけど、社交界でも噂になっていた時期がる。
「シェリー」
「お兄様?」
「やはり気づいていたか。いや、あれだけの仕打ちを受ければ気づくか」
ラインハルトが部屋に入って来て悲しい目をしていた。
できれば何も知らずにいて欲しいと思いながらも、あからさますぎる態度だったので疑いを持ってもおかしくない。
「お兄様、私は…」
「本当は告げるべきか悩んだが、フィディオ様から火急で手紙が来たんだ」
「手紙?」
「ああ…」
ラインヘルトが取り出した封筒には鷲の紋章が刻まれていた。
「この紋章は!」
ガルセオ帝国の紋章だった。
「先ほどお忍びでいらっしゃった方がフィディオ様に謁見を賜りたいと申されてね」
「もしや」
サロンで出会ったリアを思い出す。
お忍びで来ても、王弟殿下に会いたいと言ってすぐに会える人物なんて限られている。
「サロンで会ったそうだね」
「はい、偶然ですが」
「そうか、これも運命なのかもしれないな」
ずっと機会を待っていた。
知りたくても聞く事はできなくて、待っていたシェリラは。
「お兄様、教えてください。私はこのままでは進めませんわ」
「そうだな。本当はあの二人を片付けてから話したかったが」
「私は大丈夫ですわ」
もう十分待った。
そして心の傷は癒えているから大丈夫だと告げるも。
「逃げたかったんだ。その事実を話すのが嫌で。話はフィディオ様も一緒の方がいい…いやむしろあの方を差し置いて話はできないな」
「それはどういう…」
「役者は全てそろえるべきですわ。シロカも同席させましょう。すべての始りを…私達が隠している秘密を」
ずっと隠していた秘密を明らかにする時が来たのだった。
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