愛されない私は本当に愛してくれた人達の為に生きる事を決めましたので、もう遅いです!

ユウ

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取り出した人形は誰かに似ていた。
かつらをかぶり、顔はなんというか、微妙だった。


(あれはか畑の烏除けの人形?)


辺境地では畑を荒らされないように使われている人形がある。
顔はなんとも言えないのだが、見た目がそっくりだった。



「今日もやるわよ!」

「お嬢様、くれぐれも人目につかない所で」

「解っているわ。だからここを選んだのよ…さぁグローブを」

「はい」


手に大きなグローブをつけ、その人形を壁に置き。


「はぁ!」

ドスンと音がする。

「このゴミレーヌが!地上の災い!」

腹部を殴り、次に顔を何度も殴って行く。


「こっちが大人しくしていたらつけあげって!」

「お嬢様!」

「とりやぁぁぁ!」

頭を掴みそのまま顔がボコボコになるまで殴る。


「見てなさい、絶対にぶっ潰してやるわ!陰でコソコソと…ふざぇんじゃないわよ!」

(ミレーヌ、貴女は何を言ったの)


想像したくないがミレーヌが余計な事を言ったのは確実だった。


(私の悪い噂を流されたのかしら)


ミレーヌが社交界で噂になっているのは知っていた。
公爵家に養子縁組をされてからもある事に事を吹聴している事は知っていた。



(相当なストレスになっているわね…)


アニシアは正義感の塊だった。
ヴィオレット以上に白黒はっきりさせる性格だったが、物事の道理を弁えている。


最近はシェリラと勉強するようになってからも弁え方を理解しているがまだ幼い子供に感情を隠すのは難しいが、公の場では我慢するあたり忍耐力の強さは半端ではない。


(これ以上ティナに心労を…)


バキッ!

(え?何の音?)


何かが折れる音が聞こえる。
シェリラはじっと見つめると、人形の首が折れていた。


「お嬢様、いい加減にしてください。これで何体ですか?」

「だって力の限り潰していると簡単に折れるのよ。こないだもうっかりやっちゃった」


(やっちゃったって何!)


日に日に腕力が強くなるアニシアに怯える。


(早くミレーヌをなんとかしないと王宮が赤く染まるわ!)


既にミレーヌと決着を決めるどころではない。
もしかしたら本当にミレーヌを殺しかねないのではないかと思ったのだ。


(急がなくては…)


二人に気づかれないように邸に戻ると。


「お姉様、どうしましたの?」

「ヴィオレット…お兄様?」


「顔色が悪いな。どうしたんだ」


邸に戻ると、広間でヴィオレットとラインハルトがお茶をしていた。


「お二人は何を…」


この時シェリラはテーブルに置かれていたノートを見た。

ノートには。



髑髏マークがつけられており、その下には。


――ミレーヌと書かれていた。


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