愛されない私は本当に愛してくれた人達の為に生きる事を決めましたので、もう遅いです!

ユウ

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その頃シェリラは公爵家に戻って来ていた。


「お姉様!」

「遅くなってごめんなさいね」



今日は週に一度ティナと一緒にレッスンをする日だった。
現在ヴァイオリンのレッスンを受けているティナだが、家庭教師との相性が良くなかった。


先月は五人、辞表を出されたのだ。


その理由はティナが優秀過ぎて自信を無くしたのだ。



「まぁティナ、新しい曲かしら」


「私が作ったのよ!」

「素敵だけど、でもお茶会だったらもっと華やかの方が楽しいと思うわ。舞踏会向きね」

「そう?」


音楽の才能があるティナはプロ顔負けで作曲もしている。
しかしなまじ天才過ぎて困る事もあるのだ。


シェリラは音楽の才はあるが天才ではないが様々なジャンルを好み、演奏家の耳はあるのだ。

故にティナが望むアドバイスがきでる。
対する他の家庭教師のアドバイスはティナの望むものではない。


褒め方も、同じな教師達に対して、シェリラはシチュエーションで分けるべきだと進言した。

他にも専門家では気づかない事や。
どうしたらもっと楽しく聞いてくれるか、様々なアドバイスをしてくれたのだ。


「ねぇお姉様、どうして先生の演奏はつまらないの?」

「え?」

「みーんな同じ音で気持ち悪いわ…あれなら子供でもできるわ」

(ティナ…それはあんまりよ)


才能があり過ぎるのも考え物だった。
ティナは既にプロの音楽家にも勝る程の才能を発揮しているのだが、周りとわせることができないので、ソロでしか演奏ができない。


(困ったわね…)


やる気に満ち溢れ、周りと合わせようと努力をしているのに、本人はどうして自分と同じようにできないか悩んでいる。


シェリラはどちらかというと秀才タイプだった。


「ティナ外に出ましょう。外で花に触れて見ましょう」


シェリラは的確な答えを与えることはできないが、その答えを見つける手助けをするべく。


ある事を思い出す。


「わぁぁぁ!すごいわ」


「見ごろね」


庭園に出て、カモミール畑に向かう。
その傍にも他の草花が咲いている。



「お姉様、どうして薔薇園じゃないの?」

「薔薇園の方が良かったかしら」


野に咲く花に触れながら、ティナは思う。
普段から目にする豪華な薔薇の花とは異なるが、とても綺麗な花だった。


風に揺れるカモミールはとても可憐で。
他の花もすごく綺麗だと思った。


「音楽も同じではなくて?」

「え?」

「この花のように完璧ではない音楽も多いけど色んな音楽があるわ。として咲きかけの花を見て」


ティナはこれまで目に止めなかった花を見て気づく。


(そうか…解ったかもしれない!)


今まで見えないものが見えた気がした。


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