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しおりを挟むメティアの風当たりがマシになったと言えど敵は多い。
むしろ、メティアが国民に愛されれば余計に嫉妬心は強くなる。
嫌がらせをしても笑って返し仕返しをされ。
その仕返しは痛手となっている。
その所為で逆恨みする令嬢は多いが下手に手を出せない状況下でも堂々と敵意を向けるミレーヌの神経の図太さに感心してしまう。
(このままにできないわ…)
これまでシェリラは周りに守られているだけだと言う後悔があった。
養子縁組に関しても王妃がシェリラの身を守る為に行い、その後もヴィオレットを中心に義妹達が率先して守ってくれた。
(これじゃああの時と変わらない…いいえ、もっと酷いわ)
自分一人で何も解決するのではなく、周りに守られているだけだった。
このままでいいわけではない。
「シェリー、私は…」
「フィディオ様、私は過去と決着をつけなくてはならないと思っております」
「しかし!」
シェリラの決意した表情にフィディオは眉を顰めた。
また傷つくのではないかという不安が襲って来るのだった。
「私はそこまで傷ついていませんわ」
「え…」
「最初から私には祖父と兄とシロカしかいなかった。そう割り切っていました」
ライオネルが愛情を注いでくれているのは今なら解るが、それでも今さらだった。
(私も冷たい人間ね…)
ライオネルが苦しみながらも決断してきたことを今では痛いほどわかる。
高位貴族としての立場もあるし、苦しんでいたのは今なら理解できるのに割り切ってしまう。
「私にとって家族は兄と祖父とシロカだけだったのです」
「それは仕方ない事ではありませんか。恨んでもいいのです…貴女は悪くなりません」
「私はもっと声に出すべきだした。嫌われても呆れられても」
ミレーヌは我儘を言っても許される。
何をしても愛情だけを与えられてる事が羨ましくも思うが、今にしてみれば不幸ではないかとも思う。
「私は傷つきたくないから見るのを辞めました、逃げたんです」
「誰だって逃げますよ」
「だから逃げるのを辞めます。私はメティア様が好きです。あの方をこれからお支えする為にも私が動かなくては」
「シェリー…」
フィディオの傷ついた顔を見たくない。
だが、ここでメティアの名誉を傷つけ王族の顔に泥を塗られる事だけは避けたかった。
「私は逃げてはならないのです」
「貴女という人は…」
悪意にも堂々と真っ向から立ち向かうメティア。
王族の誇りを守る為にも今もたたかっているヴィオレット。
二人を見て、シェリラはもう一度勇気を出す事ができた。
それは同時にあの二人と完全に決別する事を意味していたのだった。
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