愛されない私は本当に愛してくれた人達の為に生きる事を決めましたので、もう遅いです!

ユウ

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他国の姫君を王太子妃として迎え、国民にも発表した後に、婚約式が行われた。

異国の姫を王太子妃にすることを反対する声も多くあったが、貧しい島国でありながら自身で特産物の開発から斬新な考えを持ち、尚且つ慈善活動を行っていた事もあり。


貧しい女性からの期待は強かった。



「良かったですわ」

「ああ、民からの評価は悪くないですね」

新聞を見ながら笑みを浮かべる。
貴族社会では批判を受けるも、メティアは実に肝が据わっていた。


嫌がらせを受けても動じず、あからさまな嫌がらせを受けても倍にして返していた。


「メティア様は少しばかり元気が良すぎますが、ある意味ではリシャールの伴侶に相応しいかと」

「私もそう思いますわ」


行動的なメティアであるがちゃんと意味がある。
社交界で嫌がらせをしても笑っていられるし泣きつくような真似はしない。



「先日のお茶会もありましたね」

「ええ、間違ってお茶を零した令嬢ですわね…ですが」

「お茶を零した令嬢に宮廷貴族令嬢はティーカップも自分で持てないのかと同情的な事を言っておられて。逆の恥をかいた挙句、病ではないかと苦い薬草入りのお茶を飲ませていました」

「流石です」


嫌がらせをされても仕返しをして、しかも本人は親切心からした行為でその令嬢は怯え、二度と嫌がらせはできなくなった。


他にもドレスの裾を踏もうとするも、身軽なメティアは軽く交わした。
苦い紅茶をわざとすり替えたり、香辛料が入っていてもすました顔で笑顔を浮かべていた。


「スパイシーが入ってとても飲めない紅茶ですが、彼女は南国生まれです」


南国では紅茶に癖のある香辛料を入れる事がある。
特にオルレノア王国はお茶にはシナモンや少し辛めの香辛料を入れて飲むの子を好む。

メティアは甘い物も好きだから激辛料理も大好きだった。
嫌がらせに香辛料が入れらえても平気だった。


「流石というべきか。将来は大物になりますね」

「そうですね…」


ヴィオレットに通じる物があると思った。
嫌がらせで泣き名入りするタイプではなく倍に仕返しをするタイプだった。

毎日のように嫌がらせを受けても気にもしない。
逆に嫌がらせをする方が精神が擦り減っているようにも思う。


「一応護衛はいるのですが」

「要らないような気もします」


先日も王族を襲おうとした不届き者がいたが、あの日の事を思い出していた。

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