愛されない私は本当に愛してくれた人達の為に生きる事を決めましたので、もう遅いです!

ユウ

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閑話9過去編ヴィオレット③

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全ては想定内の出来事だった。
同盟国、友好国が参加する晩餐会でミレーヌが失態を犯す事は目に見えていた。


(だから助言して差し上げましたのに)


ヴィオレットはここまで上手く踊ってくれるとは思っていなかった。
多少の失態を繰り返し、反感を買う程度かと思ったが、ここまで上手く行けば願ったり叶ったりだった。



「やはり、ヴィオレット様に委ねるべきではないか」

「異例ではあるが、過去に王妃陛下が国王代理を務めた代があったではないか」

「血筋よりも、才を優先する時代は終わったぞ?戦後ではありまいし」


過去に女性が王になったり、血筋よりも改革を優先させたり、王を象徴として優秀な王妃が陰で国を動かした時代があった。


ただしのその時代は戦後である事が多かった。
戦争を終えた後は何かと国が荒れ、新たな改革を望まれるからだ。


平素で王妃が政権を握る事は異例中の異例であるのだが。


「ヴィオレット様は大変優秀であられる。それに隣国の王族の血筋を継いでおられるのだ」

「そうだ、既にリシャール殿下では誰もついてこないではないか」

「ああ…」


決して前に出る事はしないが、リシャールの尻拭いを完璧に行いこれまで王太子妃の役目を十二分に果たしている事を多くの大臣は評価していた。


その結果――。



「今何と?」

「聞こえませんでしたか。貴方を廃嫡する事が決定しました」

「何故です!そんなことをそれば…誰がこの国を!」


苦悩の末に決断が下された。
リシャールに王としての器がない事が国内だけではなく他国に知れ渡ってしまった事で廃嫡を余儀なくされた。


「既に貴方の後ろ盾はないに等しい。他国では廃嫡すべきだとの声が出ています」

「だからと言って…」

「貴方は婚約者を捨て妹君を側室に迎え、正妃であるヴィオレットまでも侮辱しながら執務は彼女に任せ何一つしていません。そんな王太子は国民は不要です」

「母上…」

「こうなったのも私達の育て方を間違えた所為…これ以上国の権威を汚すわけにはいなかないのです」

「そんな!」


リシャールは誰も自分を守ってくれない事に憤りを感じた。
何が行けなかったのかも解ってない程だ。


「貴方は愛する女性と共に生きなさい。ずっと自由になるのを望んでいたのでしょう…私達は隠居した後は静かに暮らすつもりです」

「待ってください!それは…」


遠回しに決別を意味していた。
退位した王と王妃が暮らす別邸にはリシャールの立ち入りを禁じたのだった。


程なくして二人は退位した後に王宮を去り、ヴィオレットが王太女に立太子した一年後。


100年ぶりの女王が誕生し、リシャールは廃嫡となった。
王宮内に留まる事も許される最低限の財産と邸を与えられ辺境地で暮らす事を義務付けらるのだった。



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