愛されない私は本当に愛してくれた人達の為に生きる事を決めましたので、もう遅いです!

ユウ

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閑話8過去編シリアン②

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「母上!どういうことですか!」



ノックも無しに入って来たリシャールに眉を引か目ながら視線を合わせることなくお茶を飲む。


「私の姪が正妃となるわ。本来ならばヴィオレットに王位を継がせたいけど…今の状況かは危険だわ。貴方は何もなしなくても結構よ」

「本気ですか」

「どうしてもあの女を妻に迎えるならば最低条件よ。お妃教育を受けていない彼女に公妾は務まらないわ」

「最初から正妃に迎える気はなかったと」


「できるわけないでしょう?姉を踏み台にして婚約者を寝取ったと女が正妃?あの女にそれだけの功績に価値があればま側妃としても寵妃にもできるでしょうけど」

「でも!」

「これは決定事項です。陛下もできないならばヴィオレットを王太女とすると…」

「そんな!」


リシャールもこれまで厳しい教育を受け、王太子としての振る舞いを学んで来たが、今回の事で多くの貴族の心が離れている。


「規則を無視して強引に婚約を結んだのでしょうけど。貴族派に乗せられたようね…なんて愚かで情けない事を」

「うわぁ!」

冷めたお茶をかける王妃にリシャールは言葉を失う。


「真実の愛?偽りの思い…私までも否定する気?」

「ですが…」

「私も婚約前は愛する人がいました。ですが公爵家に生まれた以上は責任がありました。恋心はなくとも私は陛下とこの国を守るべく覚悟を持っています。その思いまで偽りだと言うのですか」

「私は…」

「これまで必死で頑張っていたシェリラが冤罪だったと言うのに貴女は謝罪もせずに」

「あの女が…」


シェリラの冤罪が晴らされたても自分は悪くないと言い放つリシャールに対して。


「母上!」


これまで体罰で手を上げることがなかった王妃は初めてリシャールを殴った。


「貴方は何時からそんな人でなしになったの…本当に私の子なの?まるで悪魔のようだわ」

「何を!」

「人が死んで、婚約者が死んで悲しむことない。むしろ喜んでいるわ…まさか貴方が仕組んだの?」

「いくら何でもあんまりです」

「もう出て行きなさい。顔を見たくないわ」


話し合いなど最初からする気はない。
これ以上顔を見たら我が子を本当に憎んでしまいそうになる。


実行犯ではないにしろこうなったきっかけを作ったのはリシャールとミレーヌなのは間違いなかったからだ。


「フィディオ…シェリラ」


大切に慈しんで来た我が子同然の二人はこの世にいない。
だけどここで立ち止まる事は許されなかった。


王妃としてこの国の母として。


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