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閑話8過去編シリアン
しおりを挟む無実の罪を着せられたシェリラが王都から追放になり修道院に向かう途中事故に合って亡くなった事を知らされた。
「なんて事なの」
官僚からの報告に王妃、シリアンは嘆いた。
シリアン自身も冤罪である事は解っていたが、公の場でミレーヌを厳しく叱り、リシャールとの仲も良くなかったのは事実だ。
敵対する派閥はこれ見よがしに妹を苛める悪女として情報を流していた。
噂を完全に消す事は出来ず、過度に庇えば更にシェリラの立場を悪くするのでできる事は少なかった。
「シェリラは嵌められたのね…そしてあの馬鹿息子が!」
「王妃陛下、どうか…」
「婚約者を蔑ろにして真実の愛なんてお笑いだわ。私達は守る側の立場であるというのに」
自由に恋愛をする事は許されない。
権力と同時に義務も発生すると言う事を忘れている。
「姉が死んで喪も開けないのに…神経を疑うわ」
貴族派がミレーヌを妃に押しているが、性格的も問題のあるミレーヌを正妃どころか側妃にするのも難しい。
「侯爵夫人は何処までも馬鹿なのかしら。溺愛する娘が魔の巣窟で生きていけるとでも?」
「解ってないのでしょう。自尊心が無駄に強いですから」
「ファルコン」
「叔父の為にもあの馬鹿共を放置するわけには行きません」
亡きフィディオを慕うファルコンはこのままにさせる気はない。
「私は、叔父を慕っていました。あの馬鹿二人の絵空事で叔父がどれ程苦しめられたか。民を心をから思い税金を安くしようと奔走していた叔父を侮辱したのです」
リシャールは聖職者であるフィディオが政治に口出しするのはおかしいと以前から指摘をしながら余った予算を軍事資金等にするべきだと意見し、増税にも賛同した。
「何の為に叔父上が苦労して税金を安くして寄付金をかき集めたか…来年から寄付金を大幅に減らして物価の値下げをするなんて馬鹿げているわ」
「消費者は喜びますが、貴族を喜ばして民を苦しめることが解らないのでしょう」
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フィディオは民が日々パン一つ買うのにも苦労し、スラム街を減らす事を考えていた。
一部多額の寄付金を懐に入れている聖職者はいるが、多くの小さな教会は孤児を受け入れたり無償で怪我人の治療もしているのに、その事実を知らなかった。
「机の上で書類の数字を見るだけでは解らないのよ。あんな馬鹿な女に誘惑されて傀儡にされるを黙って見ていられないわ」
「どうするつもりです」
「考えがあります」
リシャールに政権を委ねる事が出来になら同等の血筋の者に委ねる必要があると考えた。
苦肉の策だった。
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