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しおりを挟むその後、近衛騎士が二人を無理矢理連行した後にミレーヌは王宮の出入り禁止を命じられ、ミレアルもしばらく謹慎処分を受けることになった。
「シェリー!」
「お兄様…ヴィオレット?」
騒ぎを聞きつけラインハルトが王宮の客間に通され、何故か隣にはヴィオレットが商家の娘の装いをしていた。
「まさかこんな真似をするなんて…今日は王宮内で王妃陛下に呼ばれていたが、ミレーヌを連れ出すなんて」
「失念していましたわ。常識がないとは思いましたが、ここまで非常識とは」
遠慮のない言い回しだったが、今回はミレアルが王妃に直接呼ばれ話し合いの席を設けられた。
シェリラが養子縁組して一か月になるので手続きがすべて終わった書類と今後の身の振り方についてだった。
ラインハルトはサロンに行っていたので邸で一人だったはずのミレーヌをミレアルは連れだしたのだが、使用人は止めたか、ミレアルは聞かなかったとか。
「新しい侍女が急いで知らせてくれたんだが…何処まで邪魔するんだ」
「聞けば事をお起こしたのは彼女だと聞きますが、侯爵夫人も無礼な事を言ったと聞きますわ。今後は王宮内で護衛をさせますわ」
王宮内に出入りする近衛騎士はいるが、シェリラ専属の護衛騎士は迎えていなかった。
今日はフィディオとお茶会をする予定だと事前に伝え、謁見の間の傍にも近衛騎士は待機していたが隠し扉を使って廊下に来たのが裏目に出た。
「私も浅はかでした、今後は近衛騎士の護衛を」
「ですが近衛騎士の護衛対象者は」
「既に貴女は公爵令嬢で王家に入る身です」
「はっ…はい」
有無をフィディオに頷くしかなかった。
今後は二度とこんな事はないと思うが、絶対とは言い切れなかった。
「しかし、王宮内の警備が手薄すぎいるのが妙だな」
「ええ、何故あの二人が自由に出歩けたのか…警備が手薄になっているけではないのに」
(誰かが故意的に鉢合わせた?)
シェリラは偶然にしては出来過ぎている。
シロカが研修をする事は、多くの貴族が知っている。
シェリラの傍付きの侍女だと知る者は多く、シェリラが様子を見に行くことを想定するのは簡単だった。
「タイミングが良すぎる」
「ええ、あまりにも出来過ぎていますわ。あの馬鹿二人と接触をさせようとしたと思うのが自然です」
全てがお膳立てされたかのようだった。
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