愛されない私は本当に愛してくれた人達の為に生きる事を決めましたので、もう遅いです!

ユウ

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そこには変わり果てたミレアルがいた。


「何でシロカがいるのよ!」

「止めなさいミレーヌ」


王宮内で騒げば問題になる事を解ってないミレーヌは相変わらずだ。
これが下級貴族の令嬢ならマナーを知らないで済むが、高位貴族派早い段階から躾を行われ大人びているのは環境によるものだった。


ただし温室で甘やかされたミレーヌは下級貴族の令嬢よりも幼い平民並みの子供だった。


(反省する気はないのね)

冷めた表情で二人を見ながらも身分とは厄介なので頭を下げたままだった。


「本日は研修と私の爵位の継承の手続きです」

「何言っているの?貴女は平民でしょう!」

「いいえ、私は貧しいながらも貴族の娘です。男爵令嬢にございます」

「没落寸前だったわね」


さして興味がないような言い回しだった。
ミレアルは身分が低い者、特に使用人の事などどうでも良かった。


「正式に家督を継承した後に奥様より、王宮にて試験を受け公爵家の正式な侍女として仕えるようにと」

「公爵家ですって?」

「はい、公爵令嬢の傍仕えは狭き門でございます。その試験もかねてでございます。侍女長、女官長の許可も必要になりますので」

「まさか…お姉様」

「シェリラ様はもう貴女様の姉君ではございません。お立場をお考え下さいませ」

「私に口越えたする気!」


「いいえ、そのような」


黙っているべきだったかもしれないと思ったが、これ以上踏み込まれたくなかった。


「シロカ!」

「ティナ様!」

ここにいるはずのないティナが現れ驚く。

「迎えに来たのよ。シェリラお姉様がすごく心配していたの…でも、問題ないわね」

「申し訳ございません」

「早く帰りましょう。貴女の継承のお祝いをするんだから!シェリラお姉様を安心させてあげなくちゃ」

幼いティナは未だにミレアルとミレーヌの存在に気づいていないが、傍に近づきようやく気付いた。


「あら?ごきげんよう」

「ごきげ…」

「何よ貴女!私に声をかけるなんて失礼ね!」

ミレアルが返事をしようとするもミレーヌが前に出て叫ぶ。

「まぁ何処の方?もしかして見習いの侍女?」

「侍女?」

「礼儀作法がまだなのね…それにしても最近の平民ではそんなドレスが流行っているの?ゴテゴテして美的センスがないわね貴女」

「なっ!」


ティナはミレーヌを見て上流階級の平民の娘と勘違いする。
いかに派手なドレスでもドレスの生地は絹ではないし、センスがあまり良くないので高位貴族とは思えなかった。


「貴女の侍女になるなら身だしなみに美的センスを磨くべきね。その点うちのシロカは美的センスがいいのよ」

強気な表情で自慢するティナ。
別の意味でヴィオレットと似て勝気な性格だった。


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