愛されない私は本当に愛してくれた人達の為に生きる事を決めましたので、もう遅いです!

ユウ

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シロカは王宮にて研修を受けながらクランベル公爵家に行くことを夢見ていた。


「お嬢様…」


シェリラの養子縁組が決まった後の事。


「シロカ、貴女はしばらく王宮にいてもらいます。そこで女官の試験を受けなさい」

「えっ…それは」

「勘違いしないで。今の貴女ではシェリラの傍付きにできないのです。ノースライナ―侯爵家の侍女の肩書では完全にあの子を守れないわ」

「はい」

「貴女は男爵令嬢だそうね」

「ですが…」

シロカの実家は既に没落寸前で平民よりも貧しい男爵家だった。
出稼ぎに来なくてはならない程で、既に貴族と名乗れる物でもなかったのだ。


「これより王宮で試験を受け、一か月で課題をクリアしなさい。勿論苛め、嫌がらせ、差別もあります。ですが私達は一切助けません。一か月間耐えなさい…でなくては私は認めませんわ」

「一か月ですか」

「ええ、そこで見極めます。勿論仕事は厳しく教養も求められます。空き時間にも勉強をしなくてはならずその間にも試験があります。すべてを基準点を取りなさい」

無事に一か月の研修を終えた後に再び公爵家で試験をする事になっていた。


「あと少し…必ず戻りますわお嬢様」

ポケットにしまっている時計を取り出す。


「私はこの時間でお嬢様を守って見せます」

懐中時計に触れながら隠してあるある物を握りしめる。

「お嬢様の幸せは壊させない…あんな奴等の為に壊されるなんて許されないのだから」

虹色の光を放つ指輪。
シロカにとっては大切な宝物だった。

そして髪には青いリボンと、常に持ち歩いているハンカチ。


「シロカ、試験が始まるわよ」

「ええ、今行きます」


これから最終試験が行われる。
辛い一か月間だったが、ようやくだと思いながら試験を受けた後にシロカは合格点を貰う事ができた。



「この一か月間、よく頑張りました」

「ありがとうございます」

「貴女には本気が見れました。まだ若いのに必死さが伝わりましたわ」

流石というべきか侍女長と女官長は見抜いていた。


「野暮な事は聞きませんわ」

「ありがとうございます」


試験を終えた証明のバッチを渡されシロカは満面の笑みを浮かべる。


「「「おめでとう!」」」


周りからも拍手を送られる。
一緒に試験を受けた侍女達も最初は腫れものに触れるような扱いを受けたが、シロカのまっすぐさを知り認められるようになった。


(これでお嬢様の傍に!)


安堵しながらシロカは王宮を出るべく歩いていると前方に歩いて来る貴族の夫人が見えたのでお辞儀をして去るのを待ったが…。



「シロカ?」

「え?」


聞き覚えのある声だった。


「奥様?」

「何故貴女が…」

そこにいたのはミレアルだった。

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