愛されない私は本当に愛してくれた人達の為に生きる事を決めましたので、もう遅いです!

ユウ

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クランベル公爵家の次女と三女は社交界でも有名だった。
いい意味ではなく悪い意味でだ。

男尊女卑の激しい国では女性は家庭に入る事が当たり前だったが、次女は剣術の才能があり幼少期から騎士になる事を夢見ていた。


男子に恵まれない公爵家は婿を入れるしかない。
だが、公爵家で王家の親族であるクランベル家の財産と地位を狙う輩は多かった。

物心つく前から欲深い目で品定めをされてきたことを覚えている。
長女であるヴィオレットは母と妹を守るべく幼い頃から気を張っていたが周りはヴィオレットの誇りを侮辱する事ばかり言って来た貴族達。


そんな中次女のアニシアは自分が跡継ぎになって姉を助けてあげたいと思うようになった。
昔から勉強よりも剣術のお稽古や筋トレが好きだった。


だから自分がと思ったが。


「公爵令嬢ともあろう方がはしたない」

「女性が騎士になんてありえないわ」

「無理なのに…所詮はままごとね」

(違う!本気なの!)


アニシアがどんなに頑張ろうとも誰も認めてくれない。
そんな中、新しく家族でができると聞かされたアニシアはヴィオレットに強く言い聞かされた。


「アニシナ、新しいお姉様ができるわ。高位貴族の方で、将来はフィディオ殿下の奥様になる方よ」

「猊下の?」

「そうよ、これから社交界で色々言われるわ。他にも酷い事を言う人が多いから守って差し上げるのよ」


この時は意味が解らなかった。


いざシェリラと対面した時は。


(絵本に出て来るお姫様だ!)


会って早々に思ったのは守ってあげなくてはと思う程か弱そうだった。


「私は騎士になるわ!」

「まぁ…いいわ」


妹が何を考えているか解ったヴィオレットは誘導した。


元よりアニシアは面倒見の良い性格だった。
ティナの面倒をよく見ては騎士ごっこをしていたのだが、シェリラはアニシアとの相性は悪くなかった。


しかも勉強が苦手でもしかったりしないし、剣術が得意な事を話すと褒めてくれた。
シェリラは剣術が得意ではなく、乗馬も基礎ならできる程度だった。


誰も褒めてくれなかったがシェリラは褒めてくれた。
それどころかすごい事だと言われて嬉しくなり、苦手な淑女教育もシェリラは丁寧に教えてくれた。

テーブルマナーは相手を気遣う物だ。
将来騎士になるならば礼儀は必要だと言われ、取得しなくてはならないと言われるとアニシアは考え方を変えた。


教養は生きていくために必要なものだと解るように優しく教えられ、アニシアは淑女教育を今まで以上に熱心に受けるようになった。


だが、その一方で気になった事がある。
どうしてシェリラはクランベル家に養女として迎えられたのか。


その理由を知ったのは一週間後の事だった。

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