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「お止めくださいミレーヌ様!」


「煩いわよ!」


部屋に戻されたミレーヌはむしゃくしゃして物に当たり散らしていた。
今はライオネルもミレアルも邸を出ていて咎める物はいない。


ミレアルに至っては以前とは異なり何時もイラついていた。
笑う事なんてほとんどなく、着飾る事も減ってしまった事をミレーヌは不満に思った。


常に美しく着飾る母が好きだったのに最近はドレスを新調する事も減った。
勿論ミレーヌのドレスを新しく新調してもらえなくなった。

とは言え、必要とあればデザイナーを呼んだりもするが。
王室御用達ではないのだ。

これまでは王太子妃候補となるシェリラがいるから王室御用達のデザイナーや宝石商が邸に来てくれてただけだった。


「どうして…お姉様とシャル様の婚約がなくなったのに!私が選ばれないのよ!」


「ミレーヌ様!お止めください…また旦那様に叱られますわ」

「お父様もおかしくなって!全部お姉様の所為よ!」


侍女が窘めようとしてもミレーヌは暴れ続ける。
癇癪を起したまま暴れるので侍女は手が付けられなくなる。


「出て行きなさい!」

「きゃあ!」

物を投げられ侍女は怪我をする。


「何事ですか…ミレーヌ様!」

「なんて事を!」


花瓶を投げた破片が飛び散り、侍女が怪我をしているのを見つけたのは最近は言った侍女が現場を見て咎める。


「邪魔なのが悪いのよ。早く片づけをしなさい。それからこれも捨てて」

「ミレーヌ様、侍女は物ではありません。なんという事を」

「主に向かってなんて口を…」

「お言葉ですが、私の主は旦那様でございます。私は旦那様のご命令でお嬢様が駄々をこねられた際は報告するように仰せつかっておりますのでお片づけはご自分でお願いします」

「なっ!」

「失礼いたします」


侍女としては有るまじき行為だと睨むも興味なく去って行く。



「ジーナ、ダメよ…ミレーヌ様にあんなことを」

「だから増長するのよ。これは完全なるパワーハラスメントよ。私達は奴隷じゃないのよ」

怪我をした侍女に手を貸し部屋に連れて行くジーナはミレーヌの態度の悪さと、相手が怪我をしても目にくれない事に怒りを覚える。


「自分で自分の首を絞めるなんて」

「ジーナ」

シロカと入れ違いに入った侍女のジーナ・ハットは表情があまり変わらなが周りをよく見ていた。


「ありがとうジーナ。でも、ミレーヌ様に何かされないか心配だわ」

「大丈夫よ…」


傷の手当てを終えた後にジーナは持ち場に戻ったが夜になり。


「どういうつもりなの!」


言うまでもなく告げ口をされたジーナはミレアルに呼び出されたのだった。

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