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しおりを挟むミレアルの両親は金の亡者だった。
長らく無視していた娘を金ツルにして恋人に借金の肩代わりをしようと無理な金額な支度金を要求したのだ。
姉の結婚持参金代わりにしたいと考えたのだろう。
既に前金としてお金を出していた事も気づいていたのだが、アルシオが亡くなりあてが外れた事で、ミレアルを追い出すように邸から出した。
傷心のミレアルに余りな仕打ちだった。
ライオネルは貴族院時代からミレアルを愛していたが、親友との恋を邪魔できずにいた。
だが、このままではミレアルの心は壊れてしまう。
今は無理でもいい。
代わりに愛されたいと言う気持ちはない。
純粋にミレアルを守りたいという思いが強かった。
だからこそライオネルはミレアルを妻に迎えたのだ。
公には恋愛結婚という噂を流してだ。
政略結婚では爵位が余りにも違い過ぎる。
ミレアルの実家は本人が知らない所でまだ使い道があると思ったのだが、オズワルドがこれ以上接触しないように言い聞かせ、縁を切らせたのだ。
既にアルシオとの縁が切れた時に捨てたも同然だったので何も言えなかった。
ライオネルは徹底してミレアルを守ろうとしたが、ミレアルが伯爵令嬢である事を嫌味を言う夫人は少なくなかった。
守るにも限界がある中、ライオネルの母のレディアが庇ってはいたが嫁姑関係は良くなかった。
環境や考え方の違い故に衝突する事が多かった。
高位貴族の常識と下級貴族の常識が異なっていた。
それでもレディアが生きていた頃は守れる部分もあったが、最後まで二人が解り合えることはなかった。
「母上は決してミレアルを責めていたわけではななかった。ですがミレアルには届きませんでした」
「環境が酷かったと言えばそれまでだ…だが、シェリラを虐げて良い理由になるか」
「解っています。過去の抵抗…というのでしょうか」
身分が低い事を散々馬鹿にされた過去。
自分が裕福であればもしかしたらアルシオと幸福になれたと言う思いもあったのかもしれない。
実家が傾きかけた伯爵家。
その支度金が払えれば?もしなんて今さら考えても仕方ないが。
「アルシオは迎えに行くつもりだったんです」
「ならばあの時に待ってると言えば良かったんだ。私達とて振って降りて来た財産ではない…苦労だってした。貧乏時代もあったのだ」
「はい、大飢饉により我が家が傾きかけた事もあります。ミレアルには伝えておりませんが」
「レディアは苦労しても口に出さなかった。邸にある美術品は先祖から譲りうけた物だ」
ノースライナ―侯爵家は今でこそ資産家であるが、オズワルドが引き継いだ頃に震災の影響で領民の生活を最優先する故に傾きかけたが、夫婦二人三脚で必死で働いて持ち直したのだ。
その裏に部分をミレアルは知らないのだから。
「他人の畑は良く見えるからな」
「父上…」
ライオネルがミレアルと別れないならばそれでも良い。
だが、ラインハルトまで巻き込むことは許さないオズワルドは告げた。
「後見人は私がする」
「はい」
シェリラ以上に傷ついているかもしれないのはラインハルトかもしれないのだから。
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