愛されない私は本当に愛してくれた人達の為に生きる事を決めましたので、もう遅いです!

ユウ

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ミレアルには恋する人がいた。
同じ伯爵家の次男で貴族院時代では生徒会副会長を務める程の優秀な人物だった。


名をアルシオ・フェリシモ。
高位貴族ではないが誰よりも優秀で優れていた彼は、社交界でも有名だった。

慈善活動を活発に行うノースライナ―家とも親しく、ライオネルとも親しい間柄だった。
同い年もと言う事もあり本当に仲が良かった。


ミレアルは伯爵令嬢でありながらも次女で実家が裕福ではなかった事で学園では嫌がらせを受けていたが、気さくに話しかけ助けてくれたのがアルシオだった。

アルシオの実家も決して裕福ではなかった。
それでも背筋を伸ばし、下を向かない姿はミレアルの憧れで二人が親しくなるのに時間がかからなかった。


二人が仲を深め、恋人同士となって一年後。
ミレアルはアルシオと生きる夢を描きようやく幸せになれると思っていた。

しかし、そんな中不幸が訪れた。
アルシオの兄が病で倒れてしまった。
息子はまだ乳飲み子で跡継ぎ問題が発生した後に、アルシオはミレアルと婚約を白紙にしたいと言い出したのだ。



当時は―




「どうして!何故貴方が!」

「すまないミリー…俺は」

「酷いわ!私とお兄様、どっちを取るの!」


裏切られたと言わんばかりの言葉にもアルシオは受け止めていた。


「だから君が許してくれるなら…」

「許すわけないでしょ!他の女の傍に!」

「ミレアル…」


アルシオの言葉を遮り喧嘩別れになった。
その数日後、ミレアルは悲しみにうつ状態にもなってしまっていた。


この時のアルシオの思いも知らずにいたミレアル。


その一年後、アルシオの兄は病気が完治した。
リハビリをした後に社交界に復帰して社交界にも顔を出していたのだ。

アルシオは身を粉にして働き、不治の病の病名と解毒剤を解明した事で王から評価を受け爵位を得ることになったが、その後もミレアルとの仲は戻らなかった。


三年後ミレアルがアルシオに再会できたのは。

転落事故により亡くなった後だった。


「アル!」

「ミレアル!」

「何で…どうしてぇ!」


裏切られた憎しみはあれど、思いは残っていた。
許せない気持ちはあってもこんな別れ方はあんまりだと思った。


「酷いわ…こんな」

葬儀で泣き叫ぶミレアルをライオネルは慰めようにも悲しみは酷かった。

そして遺品の中には指輪が出て来た。


手紙にはミレアルへの愛が綴られていた。
いずれ迎えに行くためにアルシオが準備をしていたと聞かされる。


当時は二人の婚約は周りから反対され、ミレアルの両親から多額の支度金を要求されていた。
そのお金が用意できない家には娘はやれないとも言われていたのだ。


その為にミレアルを迎えにいけるように必死で働き、兄の代わりをしながら何時でも独立できるように準備をしていたのだ。


その結果がこんなことになってしまった。


後から事実を知らされたミレアルは両親がアルシオにお金を無心しようとしていた事実を知らされ、心の大きな傷を受けたのだった。






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