愛されない私は本当に愛してくれた人達の為に生きる事を決めましたので、もう遅いです!

ユウ

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閑話7過去編父の愛情①

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静かに葬儀を行われた後に、ノースライナ―侯爵家は世代交代となった。
ラインハルトは問題なく当主としての役目を果たし領地経営も問題なかった。


通常なら色々問題が生じるのだが、反感する者も少なく。
敵対する派閥が脱税をしたり薬物売買をしていたのを摘発されるなどの事件が続き、貴族派の勢力はないに等しかった。



「まったく馬鹿な人」


「陰で動いていたのか」

「でしょうね…恐らくラインハルト様が継承するまでに敵を減らそうとしていたそうですわね」


ここ一年、忙しかった理由はラインハルトを潰そうとする勢力をできるだけ潰して置く為だった。

「私はあの方が哀れにも思うのです」

「ヴィオレット様…」

「勿論同情はいたしませんわ。ですが修道院に送ろうとした理由を後から父から聞きましたの。猊下と穏やかに過ごしていただくように手を回したと」


「は?」

ラインハルトは意味が解らなかった。
これまで何もしてこなかったと思ったが書類を見せられる。


「男親とはどうも愚か者が多いのです。妻に丸投げして…遠くから見守る者だと思っている方が多いようですわ」

「だが!シェリラがミレーヌの暗殺疑惑をかけられた時に裁判をせずに」

「既に証拠を偽造させられてましたが…あの馬鹿夫人が罪を肯定し公の場でシェリラ様を罪人と決めつけた所為ですわ。普通は母親が庇うのですが」


「じゃあ…」

「ですが庇ったとしても一度流れた噂は消えないでしょう。私はずっと違和感を感じてました」


いかに容疑をかけられてもシェリラには無理がある。
常に王宮では護衛騎士が傍にいて、ミレーヌを暗殺する暇なんてあるはずがないし。

毒を仕入れることは難しい。
証拠も確実なものではないので無実だと証明することはできたのだ。


「もしや彼女が出家した後にすべての身の潔白を証明するつもりだったのでは?」

「何で…そんなの!」

「私も遅すぎると思いましたわ。ですが無実と証明された後、待っているのは醜聞ですわ。一度かけられた疑いの目は消えない…一生苦しむぐらいなら辺境地で愛する人共にと思ったのでは?」


「ありえない!そんな」


頑なに信じないラインハルトは頑なだった。
ヴィオレットもすべてを信じたわけではないがある資料を手に入れ、それを見せた。


「ご覧くださいませ。私独自で調べさせましたのよ」

「これは?」

「父君がひっそりと別荘と領地を購入していたそうです」


見せられた資料には写真が添えられていた。


「これは!」


写真に写るのは小さな邸だった。
貴族の邸にしては質素であるが見覚えのある作りの邸だった。


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