愛されない私は本当に愛してくれた人達の為に生きる事を決めましたので、もう遅いです!

ユウ

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「ライオネル、シェリラが必要ないなら私が引き取ります」


まるで死刑宣告のような言葉だった。


「シリアン様!」

互いに敬称ではなくかつての友人としての呼び方をする二人。
既に王妃と侯爵という立場としてではなかった。


「下の妹ばかり溺愛して、あの子は放置し、心が壊れるまで見抜きもしなかった。言い訳は許しませんわ…まぁ自分にそっくりな娘が可愛いのは解りますわ」

「言い過ぎでは…」

「貴方は黙っててくださいと申し上げましたわね?」

「しかし…」

「実弟に苦労をさせ、ささやかな幸福も許さないおつもり?フィディオは痛々しい程役目を果たしていますわ。后ぐらいお好きな方と一緒にと思うのは行けませんの?あんまりですわ…父に報告して」

「待て待て!フィディオの恋ならば応援するつもりだ…だが、シェリラはリシャールを好いていると聞いているんだ」

「なんて見る目がないのかしら?私から見てもシェリラはフィディオしか見ておりませんわ」

「は?」


ライオネルも初耳だったのかだらしなく口を開けたままだった。


「オズワルド殿もシェリラがフィディオを好いているならば文句は言いません。シェリラは王妃教育を受けていますが、王妃の補佐を担う形を取れば対面は守られます」


「だが、すべて上手く行くか?」

「握り潰せばいいのです」

「お前…」

「ライオネル?今まで娘を泣かせてきたのですから、それぐらいの甲斐性はありますわよね?そこまで無能でしたら即刻当初の座を息子に譲って隠居なさいな?」

「シリアン様…」


殆ど王妃の脅しにより話し合いは平和的に解決し、シェリラとリシャールの婚約解消が叶った。


そして代わりにフィディオとの婚約が結ばれることになったのだった。





「フィディオ、男を見せるのです」

「は?」

「貴女とシェリラは婚約を結ぶことになりました」

「義姉上…何を」


月虹宮に来て早々に告げられた言葉に唖然とする。


「私が貴方の気持ちに気づいていないと思いまして?王家として彼女を手放す訳には行きませんでした…ですが、フィディオがシェリラを愛しているなら問題ありませんわ」

「待ってください。彼女の気持ちは…」

「何を情けない事を言ってますの。振り向かせなさい…貴族の婚約は政略結婚ですが、愛を育んでいる者は大勢いますわ。私だって義務と責任で仕方なく陛下に嫁ぎましたのよ」

「それを言っていいのですか?」

「王子殿下の頃は今のリシャール並みに優柔不断で、何度どつきまわしてやりたいと思った事か。婚約期間に苦行の修行をしたぐらいです」

「はっ…はぁ」

知りたくなかった事実だ。
二人が婚約した当初はまだ幼過ぎたので記憶にないのだから。

「それでも愛情は芽生えましたの。夫婦の絆ですが」

(それを聞いたら兄上は泣くのでは…)

ここまではっきり言われると立つ瀬がないと思いながらも、誰よりもフィディオを気にかけてくれているのだから強く言えなかった。


「ノースライナ―侯爵も両手を上げて喜んでいましたわ。ですから今後は貴方の頑張り次第ですわよ」

「ありがとうございます」


フィディオも指を咥えているつもりはなかったが、王妃であるシリアンのおかげで婚約までスピーディーに運んだのだった。


後はフィディオの働き次第だった。


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