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しおりを挟むウィスタリア王国では長子が男であれ女であれ跡継ぎとなる。
そしてその下の弟、妹が補佐に周り時には臣下となるのが決まっている。
かつて戦乱の世が終わった時に国が定めた法律ができたのだ。
第一子が当主となり、第二子、三子が支える事二よりお家騒動をせずに家を盛り立てるという考えだった。
王家も同様だった。
婚約などにも関しても姉を置いて先に妹が婚約を決める事は社交界でも波紋を呼び、家庭内で問題があると思われる。
第一子が病気を持つ場合は異なるが…
王家に嫁ぐ際も同様に長女が跡継ぎだったら次女が嫁ぐことは合ってもその下の三女が嫁ぐなんて事は余程の事がない限りありえないのだ。
「我が国の法律をご存じないのかしら?王家に嫁ぐのは長女ですわ。後は付加価値のある令嬢…シェリラ様も該当しますもの」
「でも…」
「そんな物はオマケにすぎませんわ。才能があって女神様からの加護が合っても才能を開花させるだけの努力、忍耐が必要。今の貴女にありまして」
「お言葉ですが、ミレーヌは…」
「まだ幼いなんて理由は通用しませんわ。私の妹はまだ五歳ですが、きちんと礼儀を弁えていますわ。シェリラ様もミレーヌ様の年齢の頃はきちんとできてしましたが?」
「ですから…」
「同じように家庭教師をつけておられるのですよね?聞けばスー先生から直々に教わっていると聞きましたわ」
ミレアルが何か言い返そうとしてもヴィオレッタは許さなかった。
「でも、不思議ですわね?どうしてスー先生は姉君にもお教えしているのか」
「それは…」
「妹君と一緒に授業を受けている割にはスー先生は何もおっしゃっておられず、口を開けばシェリラ様の事ばかりでして」
ヴィオレットは既にミレーヌが粗相をした事など知っていたがあえて嫌味を言った。
ミレアルからすれば言えるはずもない。
ミレーヌがスーザンを侮辱し馬鹿にして、逃げ出した事。
尻拭いをしたなど言えるはずもなく、あの一件で伯爵夫妻はミレーヌに対してだけでなくミレアルに対してもいい感情は抱いていなかった。
特に妻を侮辱したメーヤ伯爵は不信感を抱いていたぐらいだった。
対するシェリラに対しては好意的だったのは真面目で努力家でスーザンを慕っていたからだった。
「スー先生は大変優れた王室家庭教師で、王妃陛下の指導も任された実力者ですの」
「えっ…」
「王族の者は皆、スー先生に一目置いてますわ」
この時ミレアルは初めて知った。
あの時ミレーヌが侮辱した言葉はどれ程重いのか。
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