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しおりを挟む優雅に微笑みながらも内心では冷めていた。
(懲りない親子だわ)
ミレーヌとミレアルを見下しながらヴィオレットは不愉快な気持ちでいっぱいだった。
(こんな馬鹿な連中に!)
前世の事を思い出しながらヴィオレットは怒りを覚えた。
今でも忘れることができず、この二人の犠牲になったシェリラを思うと居た堪れなくなる。
そして今も――。
(冗談じゃないわ!)
もう同じ思いはさせたくないし、したくない。
「シェリラ様、私は貴女をライバルと思ってますわ。スー先生から次代のレディーとして評価を受け、その花を賜った者同士です」
「ヴィオレット様」
「故に、そんな情けない態度は許しませんわ。真の淑女としてあるまじき姿ですわ」
ヴィオレットはシェリラを唯一無二のライバルとだと思っている。
前世では常に競い合って来たので周りからは険悪な関係だと言われ続けて来たが…。
(彼女だけだったのよ)
馬鹿正直に真正面からぶつかって来たのは。
愚直な程の馬鹿だと思った事もあったが、共に競い合って来たのだ。
張り合いもあって、常にぶつかった事はヴィオレッタにとって大切な思い出だった。
(あんなことがなければ猊下死なずに済んだのよ…あの方がどんな思いだったか!)
ヴィオレットは白黒はっきりさせる性格であるが決して冷たい性格ではなかった。
むしろ家族思いだったのだ。
「ですが、こうなった以上は私も黙認はできませんわ…侯爵夫人。今回の事は国王陛下もしっかりと耳に入っていますの」
「えっ…」
「何を驚いた表情をされてますの?侯爵閣下より此度の事もありましてリシャール様との婚約を解消して欲しいと訴えがありましたの」
「何ですって!」
驚愕の事実に絶句する。
まだ正式な事ではないので公にされていないだけだった。
「ヴィオレット!今、言う事か」
「ここではっきりさせるべきかと思いまして…オズワルド様もそのおつもりで申されたのでしょう?」
「はい、ですが…息子がそのような事を言っていたとは知りませんでした」
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「じゃあ、本当に…」
「そこで喜んでいるようですが、姉君が婚約解消になっても他に有力な候補がいますわ。現在では私と隣国の王女が候補ですわ」
「私は…」
「ありえません」
縋るような視線を向けるもキッパリないと言うヴィオレットにまたしてもミレーヌは泣き出してしまった。
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