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しおりを挟む頬を叩かれたミレーヌは案の定泣き出し、ミレアルが睨みつけるも。
「なんて事を!」
「酷いわ…」
「ミレーヌ、今すぐヴィオレット様に謝りなさい。不肖の妹の非礼をどうかお許しくださいませ」
「シェリラ!」
母親が睨みつける事や、ミレーヌが泣こうがこの際どうでも良かった。
この後悪役になっても構わない。
過去の失敗を繰り返さないと決めていたが、人としてあり方を間違えたくなかった。
「妹のしでかしたことは到底許される事ではございません。殿下に置かれましてもすべては私の監督不行き届きでございます」
「そんな…君の所為では」
「ですが、ミレーヌの行動に私の至らなさが殿下の評価を下げているのです」
「シェリラ!貴女は…」
「お母様は黙っててくださいませ!」
「なっ!」
これまで母親に逆らう事はなかった。
そのような行為は許されないと思っていたし、親の言う通りに行動する事が正しいわけではないことを理解した。
(私は何処までも盲目だったの?)
ちゃんと冷静になれば解る。
ミレアルはシェリラの為に厳しくしているのだと思い込んでいただけだ。
だけど今は違う。
(もっと周りを見るべきだったのよ)
全てを捨てて我慢をして来たが、どんなにミレアルのぞ無通りにしても愛されることはない、認められないのだから。
「どうか…寛大なお心を持ってお許しくださいませ。すべての責任は私にございます」
「シェリラ様、顔を上げてくださいませ」
「ですが…」
ミレーヌの無礼は不敬罪に値する。
相手は公爵令嬢で王族でありながらこんな無礼は許されないのだから。
「通常ならば王族に無礼を働き王太子殿下を陥れる様な行為をしたと父に報告しなくてはなりません。ノースライナ侯爵家の反逆を見逃せませんわ」
「そんな…」
「あら?そんなこともお解かりになりませんの?侯爵夫人のご実家では教育が乏しかったのかしら?」
「は?」
失言だと解っていながらもヴィオレットは言わざるを得なかった。
普通に考えれば解る事なのにどうして解らないのが理解しがたかったのか。
「私はそうして、姉君を責めて妹君を咎めないのか解りませんわ。間違いを正すのが母の役目ではないのか…間違いを肯定して過ちを繰り返させるとは」
「私は…」
「挙句の果てにリシャール様を侮辱して名誉を汚しても謝罪はないのですね。王族を侮辱しているのは真実のようですわ?あのお話も真実でしたのね…王家の聖書をゴミにしたと」
「そっ…それは」
「失礼ね!汚いから捨てて踏みつけただけよ」
「ミレーヌ!」
なんとか弁解をしようとするもミレーヌの言葉で更に悪化させるだけだった。
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