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しおりを挟む「随分とゆとりのある教育ですわね」
扇を開き、氷のように冷たい視線を向けるヴィオレットはミレアルを睨んだ。
「シェリラ様に対してはとても厳しく教育されているようですが…これでは気の毒ですわ」
「私はシェリラの為に…」
「ミレーヌ様はお可哀想ですわね」
「は?」
シェリラに対して同情の声はなく、ヴィオレットはこれ見よがしにミレーヌを憐れんでいた。
「甘やかすだけ甘やかして、なんてお可哀想な事」
「何を言ってますの?私は…」
「まぁ。自覚がなかったのですか?やりたい放題されて欲しいだけ与えられながらも本当に必要な愛情を頂いているとは思えませんわ」
「何を言ってますの!私はお母様に愛されてますわ」
ミレーヌを同情的な目で見る目は憐れみが込められているので屈辱だった。
「貴女の愛され方は溺愛です。ただ猫可愛がるだけ…欲しいものだけ与えて終わり。本当に大切なら時に割る事は悪いと咎め、きっちり叱る事…まぁ、ご自分の感情のまま怒鳴りつけるのは虐待ですが」
「なっ…」
「一方的な体罰は虐待にすぎませんわ。まぁそんなのは低次元な者の行為です。動物以下…」
「貴女は私を侮辱する気ですか!私がシェリラにしている行為が!」
ミレアルは自分の躾が間違いだと否定され怒鳴りつけるもヴィオレットは冷静だった。
「何を言っておられるのかしら」
「今、言って…」
「まさか侯爵夫人はシェリラ様にそのような行為を!私は社交界の下級貴族の夫人がそのような行為をされていると噂を耳にしましたが…まさか高位貴族のご夫人がされたのですか?」
「えっ…いえ」
完全にヴィオレットの術中にハマってしまった。
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「そんなことありませんわ。私は正しいのです…貴女は本当に無礼で性悪な方ですわね?シャル様が可哀想ですわ」
「いい加減になさい!」
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自分の立場も考えず言いたい放題を言うミレーヌに耐え切れずシェリラは声を荒げ頬を叩いてしまった。
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