愛されない私は本当に愛してくれた人達の為に生きる事を決めましたので、もう遅いです!

ユウ

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ヴィオレット・クランベル。
四大公爵家のご令嬢でありながら自身も強い影響力を持つ。


「ヴィオレット様」

「ごきげんよう。お声をかけしたのですが…お取込み中でしたのね」


相変わらずの威圧感を持つヴィオレットにシェリラは挨拶と無礼を詫びようとする。

「この場で社交辞令は結構ですわ。私は言伝を預かって来ましたの」

「え?」

「王妃陛下のお茶会の招待ですわ」

封筒を差し出され、受け取るも。
公爵令嬢であるヴィオレットが態々何故?とも思ったが。


「こちらはついでですわ。言いましたでしょう?言伝を預かって来たと」

「もう一通?」

「私をお使いに使うなんて人使いの荒い方ですわ」


溜息をつくヴィオレットが差し出したもう一つの封筒と一輪の白百合。


「誰かなんて無粋ですわ」


「猊下…」


誰かなんて聞くまでもない。
フィディオ以外にシェリラに白百合を贈ってくれる人なんていない。


「来月は式典がございます。その後に王宮にてチャリティーに参加する方々の懇親会がありますわ」

「はい、存じております」

「私も父の代理として参加しますが、猊下は貴女参加していただきたいとの事です。詳しくはお手紙に書かれているかと」

「かしこまりました。是非参加させていただきます」

手紙を抱きしめながらシェリラは心の中でフィディオを思う。


(猊下にお会いできる…嬉しい)


早く会いたいと思いながら、ヴィオレットにお礼を言う。

「ありがとうございます」

「確実に届けるには私が行くべきと思いまして。勝手に手紙を捨てられては困りますの?先日も貴女への贈り物をどなたかが勝手に開け、あまつさえ捨てたと聞きましたわ」


「私は捨ててませんわ!その辺に投げただけで!」

「まぁ!貴女でしたの?」

「えっ…あー…」

ヴィオレットは誰かなんて言っていないのに勝手に自滅するミレーヌはおどおどする。


「もうやっていい事と悪い事の判別がつく年齢ですのに…どうかと思いますわ。先程の会話を聞いて驚きましたわ」

「ヴィオレット様!」


ミレアルはさっきまでの会話を聞かれていたのだと知り真っ青になるも。


「他言いたしませんわ。そんな低俗なレベルの低い令嬢と違いますのよ」

「ヴィオレット様…」

「既に社交界でもミレーヌ様の行き過ぎた行動は噂になってますし、言わなくても知ってますわ」

「は?」


必死に隠そうとしていたミレアルにヴィオレットは追い打ちをかけるように続けた。


唯一何も解っていないのはミレーヌだけだった。


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