愛されない私は本当に愛してくれた人達の為に生きる事を決めましたので、もう遅いです!

ユウ

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宮廷貴族とは異なり軍人家系の貴族や領地持ちの貴族の中では昔からの習わしがある。


第一子で跡継ぎとなる子供は早い内に優秀な侍女に預けられる。
母親に甘えることなく厳しく育てて跡継ぎに育てるのが決まっていたが、ミレアルは第一子を乳母と侍女に奪われた事を恨んでいた。

余りにも嘆くものだからライオネルにも説得されたが、高位貴族がその決まりを破る事は許されなかった。

特に折り合いが良くなかったのが姑でありオズワルドの妻だった。
既に病で無くなってはいるが、考え方が相容れずにいた二人は常に衝突していた事もある。

貴族でありながら貧しい家で苦労して来たミレアルと異なり姑は隣国の公爵令嬢でもあり立場が真逆だった。


息子を奪った義母を毛嫌いするもラインハルトは義母を慕っていたのがさらに親子の関係に亀裂が生じたのだ。


そのことをオズワルドも責任を感じていたのでシェリラの教育に関してはライオネルがミレアルに任せて欲しいと言ったのだ。

オズワルドも最初こそは見守る体制でいたが、王家からシェリラを婚約者にとの話が出て事態は変わった。


ミレアルはシェリラに厳し過ぎる教育をして他の令嬢と差をつけるべく気負った。

気負い過ぎた結果、娘の声も聞こえない状況になったが、すぐ下の妹には甘やかすだけ甘やかしている状態だった。


流石におかしいと感じたオズワルドは何度も手紙を出しても改善の余地はなく、強引に出過ぎては余計に悪くなると思ったが、シェリラが高熱を出した日にラインハルトが手紙を出した事で黙っている事はできなくなった。



「これがお前の教育の結果か」


「お義父様!」

「お前の行っているのは溺愛だ。ただ愛玩動物のように可愛がるだけ。愛情ではない」


「何を…」

オズワルドはシェリラを愛していても、無責任な愛し方はしない。
間違いがあればちゃんと正せるように導くし、我儘放題をさせたりはしないが、ミレアルの愛は溺愛でしかない。


「溺愛はただ可愛がることだ。猫可愛がるだけ。我儘放題にさせるのが愛情ではない」

「酷い…お祖父様はどうしてそんな酷い事を!ぐずっ…」

「自分の思い通りにならなければそうやって泣いて、シェリラを追い詰めていたのかが良く解った」


ミレーヌの涙を見ても失望と落胆しかなかった。
これが自分の孫と思うと情けなくて辛くして仕方ない。


「殿下、お見苦しい姿をお見せして申し訳ありません。ですが、もう一度貴方様との婚約を考えさせていただきたく思います」


「お祖父様!」


シェリラはオズワルドが何を考えているか解ったが、相手は王太子殿下だ。
オズワルドも無傷で終わるはずがないと思ったが、ラインハルトに肩を掴まれ、止められてしまうのだった。


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