愛されない私は本当に愛してくれた人達の為に生きる事を決めましたので、もう遅いです!

ユウ

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表通りではなく裏通りを通って下町に向かう。


「街並みが少し変わったな。貧富の差が激しい」

「はい…」

普段慈善活動や視察に向かってはいるが、シェリラが向かう教会は比較的綺麗だったが、貧民街とは月とスッポンだった。


「だが、裏側の方が見えて来る。スラム街等では貧富の差の激しさが良く見える。シェリーはそこまで知らないだろう」

「はい」

危険性が多いので止められていたが、フィディオはスラム街にも足を運んでいた。
シェリラも同行したいと言ったが、周りが許さず。

王太子妃になる者が行くべきではないと許してもらえなかった。


「綺麗な部分だけ見て汚い場所には蓋をする…それは愚かな事だ」

「私は知らないことが多すぎたのですね」

「だが、シェリーは貴族令嬢だ。ここまで知る必要がない…見るのが辛いぞ」

「いいえ、知りたいです」


シェリラは箱庭の中しか知らない。
外の世界は綺麗な物ばかりではなくとも知りたいと思った。


「知ってどうする?」

「え?」

「知らなければ幸せな事も多い…」

「私は、ちゃんと知りたいんです。知ったうえで判断したい」

過去の自分は憧れのあの人の為にもと思っていた。
だが、それは間違いではないだろうかと今でも思っている。


(私は猊下の為だけではなく自分の為に…)


フィディオの見ている世界を自分の目で見て、通った道を歩いて自分の意思で考えて行動したい。


「私の目で見て、私の足で歩き、ちゃんと考えたいんです」

これまでの自分は意思を持っていなかったと反省する。


「お祖父様」

「シェリーや、いい子に育ったな。流石私の孫だ…そうでなくてはならん」

「はい!」

オズワルドは試すようなことを言ったが、確信していた。
きっとシェリラなら解ってくれると。


(あのにあの馬鹿共は!)


貴族として矜持を持っているシェリラは今でも十分立派なのに認めようとしない嫁と、ここまで放置していた我が子に怒りを覚えた。


「シェリーや、お前が嫌だと言うなら無理に王家に入る必要はないぞ」

「え?」

「私は王家に入れるよりもラインハルトの補佐をして女性でも独立して生きて欲しいと思っている。お前は優秀だから爵位をの得ることができる。そうだ、王宮家庭教師や女官も良いではないか」

オズワルドは王家に嫁がせるのは反対していた。
王妃という立場よりもシェリラは地方で領地経営を学んで離れた場所から王家を守る方が良いと思っていた。


「シェリラのように女性でも独立した世を作れば国は発展するだろう。お祖母様の夢だった」

「お祖母様が」

「そうだ」


嬉しそうに笑うオズワルドは夢半ばで死んでいった妻を思い出した。


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