愛されない私は本当に愛してくれた人達の為に生きる事を決めましたので、もう遅いです!

ユウ

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「お祖父様!」


レッスンに励んでいたシェリラは誰かが入ってきたことに気づくとそこには祖父のオズワルドがいた。


「ご無沙汰しておりますお祖父様!」

「シェリラ、久しぶりだな」


「はい!」


滅多に王都に来ることがないオズワルドに会えたことを喜び抱き着く。

「少し痩せたか…」

「どうしたのですか?王都に用事でも?」

「ああ、少しな」


表舞台から退きながらも国の外を走り回っているオズワルドがどうしているかは知らないが、もっと幼い頃か頻繁に来てくれていたのを思い出す。


(あの時はお祖父様は国にいなかった)


シェリラが断罪された時にオズワルドが国にいたら変わったかもしれないが、今考えても仕方ない。


「立ち姿が美しくなったものだな…しかしあまり幼い頃から無理をし過ぎてはならん。痩せておるではないか」

「まだまだ努力が足りません」

「無理をしればいいわけではない。爺の話し相手になっておくれ」

「はい」


オズワルドの頼みであるならば仕方ないと思いレッスンを中断した。


「東の王国の土産だ。シェリーは好きであろう」

「わぁー綺麗なお菓子」

手土産として持って来たのは色鮮やかなお菓子で、特にシェリラが好きなお菓子はビスケットやパイ等や質素な物だった。


「シェリーの大好きなジャムもあるぞ」

「わぁー、ありがとうございますお祖父様」

久しぶりにオズワルドとの話をして、普段どんなことをしているか聞くも。


(心配かけちゃだめよね)

手紙でも当たり障りのない会話をしていた。
邸で辛い思いをしていてもオズワルドに心配をかけたくなかったのだ。


「シェリー、夜は眠れておるか…顔色があまりよくない」

「大丈夫です」

「勉強のしすぎではないか?無理をして王太子妃を目さすことはないのだぞ?」


あの時もそうだった。
無理をして日々憔悴していくオズワルドだったが、あの時は未熟故に相応しくないと思っていたが。


(本当は違うのよね…)

シェリラは過去の自分を恥じた。
オズワルドは無理をするばかりの孫を心配しただけだったのだ。


「お祖父様…」

「私は王太子妃になる事が良いとは思えん…話は聞いている」

「そうでしたか」


暗い表情をするシェリラにオズワルドは頭を撫でる。

「シェリー、私は…」



ガターン!


オズワルドが何か言いそうになった時だった。
隣の部屋から何かが倒れる音や窓ガラスが割れる音が響いた。

「何だ」

眉を顰めるオズワルドにシェリラは話題を変える。

「今、ミレーヌの部屋は掃除をしていますの」

「随分大きな音がしたが…」

納得していないがシェリラに手を引かれ庭に移動することにした。




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