愛されない私は本当に愛してくれた人達の為に生きる事を決めましたので、もう遅いです!

ユウ

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謹慎処分を受けたミレーヌは部屋で癇癪を起していた。


「どうして…何でよ!」


物に当たり、花瓶を床に叩きつける。
泣いても部屋から出して貰えることはなく、普段なら他の使用人が来てくれるのに。


「私は悪くないのに…全部お姉様が悪いのよ!」

扉を叩き泣いても誰も来てくれない。


「お兄様も、お父様もお姉様ばかり!どうして…私ばかりこんな!」

母親から愛情を誰よりも独り占めしながらも、ミレーヌは満足できなかった。

ラインハルトは優しくしてくれない事が不満だった。
以前までは我儘を許してくれたライオネルは最近怒るようになった。


変わったのは、あの日から。


「お姉様は全て持っているのに…私に少しぐらいくれても良いじゃない!」


部屋で泣いても叫んでも誰も来てくれる様子はなかった。
悲しい気持ちは怒りに代わり、憎しみの矛先はシェリラに向かった。






「どうして…何故なの!」


その頃部屋にてミレアルは上手く行かない事に苛立っていた。



ミレーヌが部屋にて謹慎するようにライオネルに命じられた後に思わぬ訪問者が訪れた。




オズワルド・ノースライナ―。


前ノースライナ―侯爵で現在は隠居生活をしているのだが、今回の事をライオネルに知らされたのだった。


「ミレアル、久しいな」

「お義父様」

「本国を離れている間にこのような事になるとは…何か弁解があるならこの場で申してみよ」

「それは…私は」


普段は温厚だが、けっして甘い人間ではなかった。
隠居しながらも未だに強い影響力を持っていたオズワルドに緊張する。


「シェリラに対して随分な事をしていると…」

「私はあの子の為に」

「ならば、ミレーヌに対しても同じようにすべきであろう?いかに侯爵家で役目もないと言えど」

「お義父様!あんまりですわ」


まるでミレーヌは役立たずだと言いたげだ。


「このままではミレーヌの未来はない。そうしたのは誰だ?甘やかすだけが愛情か…それとも自分に似ている娘が哀れで可哀想だったか?」


「そんな言い方…」

「ならば今一度考えるのだな。侯爵夫人という立場はお前が考える程甘いものではない。これ以上黙っている事も出来ん。ライオネルも何をしておるのか…」

「お義父様!」



冷たい言葉を残し去って行くオズワルド。

最後まで振り返る事はなくその場でしゃがみ込むミレアルは苛立った。




「何故、上手く行かないの…少し前まではすべて」


何もかも完璧だったはずなのに。
優秀な長男に次期王太子妃となる長女に美しい次女。


すべてが完璧だった。


しかしその完璧はメッキでしかないことに気づいていなかった。


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