愛されない私は本当に愛してくれた人達の為に生きる事を決めましたので、もう遅いです!

ユウ

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ノックも無しに部屋に入って来たミレーヌに眉を顰めるもすぐに仮面を被った。


「帰って来たのねお姉様」

「ええ、心配…」

「いくら気を引きたいからってどうなの?」


言葉を遮られさらにイラっとした。
心配なんてまったくしていなかったし、する気もないなんて解っていたのに何を期待していたのか。

「普段少し体調が悪くても我慢できるのに…心が病気だったんじゃないかしら」

「そうね」

「シャル様も邸に来てくださったのよ。でもお姉様がいないから私がお相手をして」

普通に愛称で呼んで親しげだった。

「シャル様も私と楽しくおしゃべりをしてくださって。私を可愛いと言ってくださったの」

「そうね。私よりも気が合うのでは?」


「でしょ!お姉様よりも私の方がお似合いよね!」

一人盛り上がってキャアキャア叫ぶミレーヌに何の感情も抱かない。
悲しくもないけど、前世であれだけ必死になっていた自分は何だったのだろうか。

頑張って。

頑張って…。


その先にあるのは。

妹に裏切られ、婚約者に罵倒を浴びせられ最後は捨てられただけ。


「シャル様は私の理想の王子様よ。ねぇお姉様、シャル様を私にちょうだい!」

「ちょうだい…と言われても」

「いいでしょ?私の方が…」


ミレーヌの方が相応しいとでも言いたげだった。


「いい加減にしないか!」

「お父様?」


すっかり父親の存在を忘れていたミレーヌだったがライオネルは失言を繰り返す行動に怒りを覚える。


「病気の姉に対して心配もしないのか…何より殿下は物じゃない!無礼だろう」

「私は別に…」

「人の部屋に入るのにノックもなく入るのはマナー違反だと教わらなかったのか」

「教わってません」


ライオネルが叱るも開き直り謝ろうともしない娘に絶句した。

「そうか。では今後は舞踏会に行くのは禁じよう」

「え…何故ですか!」

「マナーができていないならば恥をかくだろう」

「そんなことありません。マナーぐらいで…」

今まで舞踏会に頻繁に出ていたのにいきなり禁じられ納得できないでいたが、今回ばかりは厳しくするライオネル。


「君はもう何でも許される年齢じゃない。王宮の王家主催のお茶会に参加してマナー違反をすればどれだけの人が迷惑するか…淑女として正しい振る舞いをするのは社交界に出る為にも必要だ」

「…はい」

「高位貴族である以上は美しい振る舞いも求められる。シェリラを見習って頑張るんだ」


その言葉に苛立ち、ミレーヌは涙目で睨みつけるもシェリラは気づかない振りをした。


「さぁ、部屋に戻りなさい」

「はい」

「悪かったねシェリラ。勉強の邪魔をして」

「いいえ」


静かに去って行く二人を見てシェリラは。


「一体何があったのかしら?」

何故今さらになってあんな真似をしたのか疑問を抱いていた。


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