王太子殿下の仮初の婚約者になりましたが何故か愛されてしまいました。

ユウ

文字の大きさ
上 下
5 / 13
第一章

4父の帰還

しおりを挟む



社交界では私とテネオスの関係は良い者ではないと誰もが知っている。
性格にはテネオスは私を毛嫌いしてわざと壁の花にして当てつけのように他の単令嬢ラリシアと仲睦まじくしているのを見せつけていると思っているが。



私は別に何とも思わない。
ラリシアは妹のような存在で、テネオスは幼馴染だ。


領地が近い事もあり、政略結婚をするにしても幼い頃からの付き合いもあって婚約が纏まった。


お父様はテネオスとの婚約には難色を示していた。


その理由を私は知らなかったのだけど。



数日後、遠征から帰還したお父様に私は報告をした。



「お帰りなさいませ」

「ああ、しばらく留守にして悪かったね」


仕事でありながらもお父様はお土産に白い百合を持ち帰ってくれた。


「リアの好きな花だ」

「ありがとうございます」

「お嬢様、私達からこちらを…」


「私の前で娘に花を差し出すな!今すぐ殺されたいのか」

「申し訳ありません」


第二騎士団の皆さんは私に遠征先で摘んだ花を差し出すも、お父様に睨まれてしまう。


「それで、何かあったのか?」


「お父様」


私に微笑みを向けられるお父様に申し訳ないのだけど、ちゃんと言わないと。


「ご報告がございます」

「何だい?改まって」


「私、この度婚約破棄をされまして」


「え?」


「テネオスが婚約破棄…というか婚約者の入れ替えを望んだので了承しました」



できるだけ笑顔を浮かべて、簡単に話すも。



「そうか」

「お父様」


「解った」


意外と拍子抜けだった。
もしかしたら心労を与えてしまうと思ったし。

もしかしたら、立場を弁えていないとお叱りを受けるかと思ったのだけど。



「お嬢様、後はお任せください」


「そうです!」

「はい?」


お任せくださいって何?
第二騎士団の皆の眼が血の色に染まっていた。



「俺達のお嬢様に恥をかかせるとは」

「血祭りに」

「暗殺、闇討ちのどちらが良いですか」


普段紳士な彼等が恐ろしい事を口にしていて私は固まった。



「皆さん落ち着いてください」


「アンナ!」


やっぱり流石ね!
騒ぎを大きくしないように皆を鎮めようとしてくれているのね!


安堵する私だったが。


「あの馬鹿はお嬢様を愚弄しただけでは飽き足らず、婚約者の入れ替えにラリシア様を選ばれたそうですわ」


「「「「なんだとぉぉぉ!」」」


何故そこでラリシアの名前を出したの?
そしてさっきよりももっと怒っているのは何故なの?


この時私は彼が何故ここまで怒っているのか知らなかった。



しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~

つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。 政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。 他サイトにも公開中。

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません

ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは 私に似た待望の男児だった。 なのに認められず、 不貞の濡れ衣を着せられ、 追い出されてしまった。 実家からも勘当され 息子と2人で生きていくことにした。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ * 4万文字未満 * 完結保証付き * 少し大人表現あり

あなたの愛はいりません

oro
恋愛
「私がそなたを愛することは無いだろう。」 初夜当日。 陛下にそう告げられた王妃、セリーヌには他に想い人がいた。

【完結】君を愛する事はない?でしょうね

玲羅
恋愛
「君を愛する事はない」初夜の寝室でそう言った(書類上の)だんな様。えぇ、えぇ。分かっておりますわ。わたくしもあなた様のようなお方は願い下げです。

旦那の真実の愛の相手がやってきた。今まで邪魔をしてしまっていた妻はお祝いにリボンもおつけします

暖夢 由
恋愛
「キュリール様、私カダール様と心から愛し合っておりますの。 いつ子を身ごもってもおかしくはありません。いえ、お腹には既に育っているかもしれません。 子を身ごもってからでは遅いのです。 あんな素晴らしい男性、キュリール様が手放せないのも頷けますが、カダール様のことを想うならどうか潔く身を引いてカダール様の幸せを願ってあげてください」 伯爵家にいきなりやってきた女(ナリッタ)はそういった。 女は小説を読むかのように旦那とのなれそめから今までの話を話した。 妻であるキュリールは彼女の存在を今日まで知らなかった。 だから恥じた。 「こんなにもあの人のことを愛してくださる方がいるのにそれを阻んでいたなんて私はなんて野暮なのかしら。 本当に恥ずかしい… 私は潔く身を引くことにしますわ………」 そう言って女がサインした書類を神殿にもっていくことにする。 「私もあなたたちの真実の愛の前には敵いそうもないもの。 私は急ぎ神殿にこの書類を持っていくわ。 手続きが終わり次第、あの人にあなたの元へ向かうように伝えるわ。 そうだわ、私からお祝いとしていくつか宝石をプレゼントさせて頂きたいの。リボンもお付けしていいかしら。可愛らしいあなたととてもよく合うと思うの」 こうして一つの夫婦の姿が形を変えていく。 --------------------------------------------- ※架空のお話です。 ※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。 ※現実世界とは異なりますのでご理解ください。

皇太子夫妻の歪んだ結婚 

夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。 その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。 本編完結してます。 番外編を更新中です。

【完結】お飾りの妻からの挑戦状

おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。 「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」 しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ…… ◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています ◇全18話で完結予定

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

処理中です...