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第二章
47罪状
しおりを挟む「あの女が悪いのよ!」
既に声を出すのも辛いはずなのに、憎しみをぶつけるように言い放つ。
「グレース!あの女を見るたびに不愉快だった。何時も笑ってうざかった!」
既に私を見ているのではなくお母様を見ているようだった。
「ニコニコ笑いながら私を見下し蔑んで…あの女、私が出戻って笑って迎え入れたのよ!なんて嫌味なの…当てつけに婚約者を奪っても、文句も言わずにちゃっかり他の男と結婚して財産持ちになって…女伯爵?何でよ」
「グレース夫人はそれだけの功績がある。亡き夫と共に二人三脚で様々な改革をして来た。その裏で苦労もされた」
「煩い!そんな説教聞きたくないわ…だから殺してやったのよ」
「やはり母を…」
「何よその憐れみの目は」
怒りよりも哀れだと思った。
同情は出来ないけど、ここまで執着するなんて。
「何処までも愚かな」
「話すだけ無駄よ。でも、最後に彼女が陛下から賜ったペンダントを返しなさい。あのペンダントは貴女如きが持っていていいものではないわ」
「そんなもの捨てたわ…」
ペンダント?
もしかして。
「これですか」
「なっ…何で」
「地下室の隠し扉にオルゴールを見つけました」
「間違いないわ。紋章が刻まれているわ。これがあれば貴女は正式に伯爵位を継承できるわ。財産の全ても」
「そんな…」
「補足すれば、オークレ家の財産はお金だけでなく土地がある事が解ったの。恐らく彼等も知らないわ」
私が母の遺産を引き継ぐ為に絶対に必要なのは証明となるペンダント。
そして親子である証明に遺言書だった。
「遺言書が無くとも手紙の中に貴女に財産を譲ると書かれていれば完璧よ」
「馬鹿な…そんな」
既に反抗する気力もなかった。
「待て…そんな。遺産は私にも」
「法律を知らない人ね?通常遺産は母親から娘、叔父である貴方に取り分があるはずないでしょう?」
私もそこまで詳しくないけど、通常は母親が亡くなった場合。
その子供が生きている場合そのまま遺産が引き継がれる事になるけど亡くなった人の兄弟が遺産が入る場合は子供がいない場合となる。
「それに貴女はオークレ家の婿養子であるけど、グレース夫人から何のやり取りもしていないわ。グレーテルちゃん、日記を」
「はい…」
「この日記を裁判所に提出ずれば貴方達の罪は重くなるでしょう」
「そっ…そんな」
二人は殺人罪として裁かれることが決定している。
だけど。
「待って…私は関係ないわ」
お姉様は関係ないと主張をして来た。
しかし別件で罪状があるのだから。
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