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第二章
38食生活
しおりを挟む冷静になってみれば病人が食べる食事とかけ離れていた事に改めて気づかされた。
私がまだこの邸にいた頃は料理人もいたけど。
「肉ばかりだわ。それに一日三回のお茶にお菓子は生クリームやチョコレートを使った物ばかり」
お姉様が本当に病気か調べてみたけど、調べれば調べる程病気というか。
「うん、体は不健康だけど食欲はあるのよね」
お姉様は心臓が悪いと聞くけどお酒もかなり飲んでいるようで、先月の買い物の明細書を見るとかなりの量のブランデーのような強いお酒を飲んでいる。
だけどお姉様の顔色があまり良くない。
掃除をしている時に思ったけど抜け毛が酷かった。
病気なのは本当なのかもしれない。
それに食べる量がすごいようだし、部屋に煙草の吸殻の残骸がある。
だけど医師が出入りした形跡もない。
お薬を飲んでいるのも記憶にないのだけど。
「とりあえず症状を書き記して、後はポンチョのレシピノートとお姉様が関わっているかを調べないと」
ようし、こうなったら徹底的に調べよう。
「マル!」
「はいはい!」
早速ハム夫人に呼びだしを受けた。
「馬の手入れと馬車の掃除の後は洗濯だ!」
毎日のように怒鳴り声を張り上げて疲れないのか。
「ハム夫人」
「何だい」
「これ良かったらどうぞ」
「何だい、気が利くじゃないか」
ずっと大声を上げていたから喉が渇いていたんだな。
「アンタが私に酒を…おえぇぇぇ!」
「蝮のジュースです。体い良いですよ」
「アンタ!なんてもんを…こんな人間が飲めないような…腹が」
「良かったですね」
これで便秘も解消だ。
体にも良いし、体質改善ができるなんて素晴らしい。
「良かったら蜥蜴の尻尾を煎じたお茶もいかかです」
「そんなもん飲めるか!こっちに来るんじゃないよ」
「まぁまぁ…」
遠慮しなくても良いのに。
良薬苦しとは良く言うものだけど、本当に効き目はあるんだけど。
けれど翌日からハム夫人の顔を見る事はなかった。
シーナの話によると。
「何故か病院に入院されたとか」
「風邪でも引いたのかしら?」
「さぁ?」
きっと他に持病があったんだと思いながらも私達を監視する目が緩くなり、本格的に調査をするが叶ったのだった。
そんな折。
何時もように掃除をしていると。
あれ?壁に皹が。
「本当ですね、塗りなおした方が…」
とりあえず補強をしようとしたら、壁の一部が動いた。
「隠し扉でしょうか」
「わぁー!秘密基地」
階段も見えるし、もしかしたら素敵な物があるかも。
「入って見よう」
「でも、今から食事の準備が…」
「日を改めよう」
時間を作って調査する事にした。
だけどその隠し扉の事を手紙に書いてしまった事で後に想定外の事態になるのだった。
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