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第二章
35捜索隊~ルシウスside
しおりを挟む書置きを残して行方不明になったグレーテルの行方を探すも。
「こうも見つからないなんて」
「何所に行ってしまったんだ」
ヨーゼフも頭を抱えていた・
王都は広くすべてを探すのは時間がかかるし、公に捜索願いを出す訳にもいかないのだが。
「二人共落ち着いてくださいませ。闇雲に探しても仕方ありませんわ」
「しかしだな、アゼリア」
「もう少し冷静にお考えになったら?」
お茶を飲みながらさっきから地図を広げていた。
さっきから何を調べているんだ。
「アゼリア様、情報が届きました」
「そう。流石お姉様ね」
シアンと何かをコソコソ話し合っている。
一体何が解ったというんだ。
「ルシウス様。お姉様の性格と行動パターンをお考え下さいませ」
「グレーテルの性格…」
「置手紙が置かれてすぐに私はお姉様だったらどうされるか考えましたの。オークレ家に乗り込むにも正面突破なんてできませんわ。そうなると」
「忍び込んだのか」
「ええ、使用人の振りをして忍び込めば確実ですわ…特にあの家なら」
通常は貴族の邸でメイドや侍女として雇ってもらうには紹介状を書いてもらう必要がある。
下級貴族の場合でも職業紹介状で紹介してもらって面接を受けるのが大半だが、ちゃんとした手続きをしていないのなら?
オークレ家は傾きつつある。
何より、今までのグレーテルの待遇を見れば使用人も真面な人間を雇っていると思えない。
「目撃情報を得ました。市場でお姉様の情報を」
「これは…」
写真を見ると、変装はしているがこのメイド服に変装セットは。
「以前、母上が贈った変装セットじゃないか」
「ええ、しっかり物に」
解る人間が見れば解らないが、少なくともシャトワール領地に来てからのグレーテルは変わった。
髪も肌も整えられ、顔色も良くなったし。
そこに姉上が用意した変装セットに化粧を加えれば解らないだろう。
「お忍びで町に出る時や、将来の為に準備したと聞いていますが役に立ちましたわね」
「喜んでいいのか、嘆いていいのか」
いや、その前にグレーテルの身が心配だ。
魔の巣窟に忍び込んだようなものなのだから、危険すぎるんじゃないか?
「万一のことを考えると、心配はありますが」
「だが、グレーテルにとっても良い機会だ」
ヨーゼフはグレーテルが元家族にされた仕打ちをちゃんと認識するべきだと思っているのか、止める事を迷っていた。
私も迷っているのだが――。
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