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第二章
31油断~アゼリアside
しおりを挟むこのご時世、親子関係を調べる方法は幾つもある。
王立研究所では毛髪や血液を調べれば親子かどうか判断できる。
だけど、年月が経ちすぎているが故に調べるのは困難だった。
「現段階では証拠としては甘いですわ」
「ああ…」
「ですから、その看護師をどんな手を使っても良いから連れて来いと命じました。それからオクレール家にスパイを送れば良いのです」
「は?」
何を呆けた顔をしているのか。
一番手っ取り早い方法はスパイを送り隠されている証拠を探すべきです。
「既に手は打っています」
「待て待て!仕事が早すぎないか?」
「当然です」
お姉様には申し訳ないけど、言えば自分が行くなんて言い出すでしょう?
バレるに決まっているわ。
「叔父様、万一お姉様がグレーテル夫人のご息女だった場合どうなります?」
「勿論、グレーテルの物となる。だが、現在では」
「ほぼ使っている状態だが、邸との権利と商会の権利は戻るだろう」
後は借金という事になるわ。
何よりもあの馬鹿家族を裁判にかけられる。
「ジェローデルを呼んでくだあい叔父様」
「彼をか?」
「彼以上の適任はいません。正式に調べ、法廷で戦うべきです。とは言っても最後に決めるのはお姉様です」
「アゼリア…」
お姉様の性格上、許してしまう可能性もある。
だけど法律上で裁かれる罪からは逃れられないのだから。
「このまま放置すればいずれお姉様の害になるでしょう」
「そうだな」
ルシウス様がどれだけ頑張って守ってもどんな手を使ってお姉様に害を成すか解らない。
「既に没落前なのですから、社交界から追放した方が良いですわ」
冷酷と言われようと結構。
私は家族を最優先するだけだもの。
お姉様が優しい事を良い事に。
今までどれだけの苦痛を強いて来たか。
「手始め手に思い知らせてやります」
「そっちは任せなさい」
誰を敵に回したか解っていないようね。
オークレ伯爵家を徹底的に潰す為に私は既に布石を投じている。
「ルシウス様、お姉様は貴方が思う程弱くなくてよ」
「アゼリア」
「今は待ちましょう」
あの方は私達が思う以上に色々考えている。
そして自分の為に動く事はないけど自分以外の為ならば必死になる人だった。
だから私は見過ごしていたのだ。
「大変です」
「シアン、貴女らしくないわね」
「グレーテル様がお部屋にいません!他の場所も探したのですが…」
「何ですって!」
私はお姉様を侮っていた。
「急いで探せ!いや、私も出る」
「叔父様、早馬を用意してください」
あの方は行動的過ぎる人だという事を。
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