身代わりで鬼姑と鬼小姑の元に嫁ぎましたが幸せなので二度と帰りません!

ユウ

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第二章

27商人貴族

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王都内では商人貴族として振舞う事になった。
平民では舐められるし万一のことを考えてハミルトン家の分家という設定だ。


ただし爵位は子爵家という事にした。



「男爵では弱い、かといって伯爵だと行き過ぎだからな」

「なるほど、商人貴族ならば子爵ですものね」

「私は変わらず使用人という立場になります」

シアンがいてくれて助かった。
侍女としての振る舞いは完璧だし、まだまだ所作があれだしね。


「じゃあ私はシアンの後輩ね!」

「お姉様、本当に侍女の真似事をなさる気ですか」

「ええ」


私の設定は貧しい貴族令嬢で見習い侍女だったが子爵様に見初められて嫁いだという設定だ。
夫役は言うまでもなくルシウス様。




「設定はこの程度でいいでしょう。店も営む手筈です」

「ありがとうシアン」


食の祭典に参加した貴族。
通常貴族は料理公コンテストに直接参加するのではなく、自分の使用人に代理人として参加させる。


ただしメニュー。

レシピを考え、料理人に作らせる。


ただどんなものを作るか、どんな風に提供するか。
そして客引きや様々なセッティングを考えるのは参加する人間だった。


「まずはその貴族に刺激を与えないと。悪い刺激を」


「となるとポンチョの作ったサンドイッチにホットドッグか」

「ええ、わざと刺激します」

ポンチョの名前で商品を売って神経を逆撫でする。


「気位が高い性格で短気ならば、噂気を聞きつけます」

「そうだな…だが、相手もそう馬鹿ではないだろ」


「そうですね」


私達が挑発しても簡単に罠にかかるとは思えないけど、やってみない事には解らない。



「ここで言い合っていても仕方ありませんわ。早速とりかかりましょう」

「アゼリア…」

「それに私からすれば嫌がらせ、妨害をするような人間に真の美食が解るはずありません」

「そうだね。美食のなんたるかを理解しているとは思えない」



アゼリアとジークヴァルト様の後押しもあり、私達はポンチョバーガーを販売した。
テイクアウトで食べられるように手づかみでボリュームのある肉のバーガーを屋台で販売した。



「ポンチョバーガー一つ!」


「俺は二つだ!」


ハンバーガを包んでいる紙にはポンチョの絵が描かれている。
これを見れば作っているのは誰か解るだろう。



「食の祭典の時はホットドッグだったけど…これも美味いな」

「そうそう、似たようなホットドッグはあったけどよ。美味くなかったんだよな」


「なんていうか気取っててさ。ナイフとフォークでサンドが食べられるかってんだ」



ハンバーガーを売ると早速有力な情報を掴んだ。


「そうなんですか。でも、食の祭典で優勝したんでしょう?」

「それがよ…審査員が途中で変わったんだよな」

「審査員が変わるまでは、悪評が強かったんだが」


これは裏がある。
その貴族は八百長をしたのではと思った。


その矢先だった。


「きゃあああ!」


広間の泉近くで悲鳴が響いた。



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